「僕らの地域活性化作戦」番組収録後インタビュー:古市憲寿
2013年3月30日(土)0:00~1:30〔金曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ「僕らの地域活性化作戦」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。
古市 憲寿 (フルイチ・ノリトシ)
1985年生まれ。社会学者。著書に『希望難民ご一行様』(光文社新書)、『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)、『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)などがある。
――今回の番組「僕らの地域活性化作戦」で、他の出演者のコメントで印象的だったもの、考えてみたいと感じた論点はありましたか?
古市 山崎亮さんがおっしゃっていた、「中山間・離島地域(*)」にこそ可能性があふれている、という話が面白いと思いました。
「地域活性化」といっても、必ずしも地域の全員がやる気にあふれているわけではないですし、特に人口の減少をはじめ多くの課題を抱えているであろう「地方」において、コミュニティデザインはしんどいのではないか、とたずねました。
「中央」の目線から見れば、こういった地域は切り捨ててもいいかもしれない。でも、切り捨てるのではなく、逆にそれがあることによって日本の国土が保たれ、豊かになる。バランスの上に成り立っているという話です。
「中央」にいると、どうしてもこういった目線を持つことができないので、「地方」から発想することが大事だと再認識させられました。
――「中央」と「地方」から成る日本の未来像をどう考えますか。
古市 地方都市の未来像については、番組でも話しましたが、皆が東京みたいな都市を目指す必要はないと思います。ある地域では法人税を下げるとか、相続税を下げるとか、またある地域では税金を上げる代わりに福祉を充実させるとか。もっと、都市ごとに特色が出てもいいという考えです。
日本の人口は1億2800万人。世界の人口ランキングで10位です。日本は実は大きな国なのです。日本をいくつかの地域に分けたとしても、それぞれがヨーロッパ一国分の人口に匹敵する地域も多い。日本というスケールを取りのぞいてみると、日本の中では小さい「地方」でも、ある産業においては他の国と戦えるかもしれない。競争相手は日本国内だけではなく、アジアの各都市かもしれない。
たとえば北海道の人口は約548万人で、GDPで見ても世界で50位以内にはランクインします。ですから、地域ごとの発達みたいなことには可能性があります。
日本という国は、こんなに大きい国なのに中央集権国家になり、しかもある一定期間成功してしまったという、すごく稀有な国なのです。
その奇跡を続けさせるよりも、現実的にリスケーリング(適切な「大きさ」に変えていく)していくことも必要ではないでしょうか。