「競争から共創へ@大阪」番組収録後インタビュー:徐子雁
2015年3月29日(日)0:00~[28日(土)深夜]放送予定の「競争から共創へ@大阪」収録後、徐子雁さんにインタビューを行いました。
徐 子雁 (XU・Ziyan)
1986年生まれ。デザイナー。中国西安市出身。通称くーらちゃん。大学時代は建築意匠を学び、その後大学院では早稲田大学でメディアデザイン専攻をし、卒業テーマ「健康リマインダーMoiraMirror」がMIRAI DESIGN AWARDを受賞。現在は電機メーカーで商品企画とUIデザイナーとして奮闘している。2013年六甲ミーツ・アートで公募アーティストとして作品を展示したり、大阪市主催の「ものづくりハッカソン」などエンジニア、イノベーションが集まるイベントに積極的に参加し、大阪のテック系界隈で注目される存在に。
――今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。
徐 番組でお話しした「ハッカソン」は、大阪のものづくり、イノベーションに大きく影響しました。最初は大阪市主催のイベントでしたが、大学、大企業まで次々に広がり、産学連携とオープンイノベーションが活発になされました。大阪イノベーションハブはその役割を果たす一つの「場」ですが、もう一つ重要な部分は「人」だと思います。
私は会社で働きながらもハッカソンに参加してたくさんの人と出会い、チームワークを体験し、それによって世界がますます広がりました。このような経験をもっと世の中の人に認知してもらいたくて、「自称アイドル」活動(笑)も始めました。
――今回の番組で“興味を持った、あるいは、印象に残った発言や話題”はありましたか。
徐 笑えませんでしたが、とても印象に残ったのは、阿部さんが「実は大阪が嫌いだった」と仰ったことです。
私は就職で大阪に来ました。大阪に住んでみたら、普通に給料がもらえて、家賃も駐車場代も手頃で、交通のアクセスが便利で、人間関係にストレスの無い楽しい日常が送れています。これは東京ではあんまり感じられなかったことです。
ですが、私がクリエーター職である限り、たとえ家賃と人間関係で苦労すると言われても、東京に溢れるチャレンジとチャンスに憧れないわけではありません。
「あ、あのデザイナーは東京に行っちゃったんだ。やっぱり、東京で羽ばたいてみたいよね。なんでここなんだ。」――これは私の大阪に対する一番のジレンマですが、まだ日本に住んでいる期間が短いので、これからいろいろと体験してみたいと思っています。
――地方活性化のためには、何が必要だと思いますか。
徐 一言でいうと、「面白いこと」をしたい人々と、その人々が集まる場と、その面白いことが実現出来るインフラが必要だと思います。
例えば大阪のものづくりで、ハッカソンが盛り上がる一方、立ち上げたスタートアップ事業はチャンスを求めて東京に行ってしまうのです。その事業と地域文化の関連性が無いからです。「大阪」という土地にもっとチャンスを感じてもらえるように、政府とメディアに頑張ってほしいところです。
大阪では楽しさ、面白さが大事にされていて、「おもろい」だけでビジネスが成り立ちます。それ以外の地域でも、きっと独特な文化やいろいろな可能性があるはずです。それを生かせる環境作りが重要になってくるのではないでしょうか。
――最後に視聴者へのメッセージをお願いします。
徐 ものづくりのツールがIT技術によって大きく進歩していますが、やはり「人」の力を超えるものは無いと思います。地方は、都心に比べて資源や人材においては不足していると思いますが、人と人がより繋がりやすく、和気あいあいとしながらものづくりが進められるというメリットがあります。
現在、東京、大阪を始め、いろいろな地域・地方でもハッカソンを開催しています。皆さんにも、初対面の人とチームワークするドキドキ感と、その繋がりで新たなものが生まれていく化学反応を楽しんでみてほしいと思います。