まずは自分の琴線に触れるところに注目 古市 憲寿
9月1日 0:00~放送予定のニッポンのジレンマ「僕らの楽しい資本主義」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。
古市 憲寿 (フルイチ・ノリトシ)
1985年生まれ。社会学者。著書に『希望難民ご一行様』(光文社新書)、『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)、『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)などがある。
カチンときたら、自分の問題になった証拠です
―「僕らの楽しい資本主義」に出演された感想をお願いします。
古市
討論番組などに出せさてもらうと、いつもは自分がいちばん若いってことが多いですけど、今回は逆にいちばん年上でしたので、新鮮な経験でした。いつもは年上の人に質問をしていればいいのですが、今回は自分より上の人がいないから。頼られてしまって(笑)
同世代と話し合って思ったことは、みんな聞く耳を持っているってことですね。たとえば60代の人と対談すると、それこそ持論をスピーチのように話されるだけの方がたくさんいるのですが、今回はきちんと会話になっていました。話をちゃんと引き受けて、人に戻すっていう会話の基本がきちんとできている人が多くて、とても話しやすかったです。
―同世代の視聴者へのメッセージを。
古市
出演者は6人もいたので、誰に共感できて、誰にできなかったなどと考えながら、好きな人と嫌いな人を一人ずつ見つければいいのではないでしょうか。それで自分の立ち位置がわかると思います。6人のキャラが微妙に違っていましたので。
どんな話題でも、ただ偉い人がしゃべっているのを聞くだけだったら、なかなか自分の問題にはならないですよね。でも、同世代の話を聞いていてちょっとでも批判したくなったりカチンとくることなりがあれば、自分の問題として考えざるをえない。何もないよりは、批判なり賛成なり琴線に触れるなり、何かあった方が自分の問題として考えられる。そういう意味では、何か物事が「炎上」するのは、悪いことではないという話を番組の中でもしました。
討論番組などでは、論者にはお互いに曲げられない確固たる主張があることが多いですよね。だから議論は平行線。だけど今回の出演者の方々は、みんな模索中というか、日々自分のフィールドで活動している人も多かったので、変に凝り固まっているところもなくてよかった。年齢を重ねると、経験がいつの間にか法則のようになってしまって、自分の言動が経験に縛られてしまう。だけど20代も半ばの僕たちは逆にそこまで経験値がない分だけ、柔軟に人の話を聞いたりできたのがよかったのかな。
―今、欲しいものはありますか?
古市
実は、買い物がすごく好きなんです。伊勢丹とか六本木ヒルズとか、わかりやすいところに行きます。洋服は買いますが、スポーツカーとか車には興味はなくて、アロマとか小物とか、いわゆる「女の子が好きそうなもの」をよく買います。だけど、どうしても欲しいものはないかも知れないですね。
資本主義とからめて言えば、お金というものは、自分が使い切れないほどはいらない。自分が豊かに暮らしていけるぐらいでいい。その額は、たぶん人によってぜんぜん違うはずなんです。