「僕らのキャリアデザイン論」番組収録後インタビュー:仲暁子
2014年6月29日(日)0:00~01:00[6月28日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「僕らのキャリアデザイン論」収録後、仲暁子さんにインタビューを行いました。
仲 暁子 (ナカ・アキコ)
1984年生まれ。ウォンテッドリー株式会社代表取締役CEO。京都大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。退職後、Facebook Japanに初期メンバーとして参画。2010年9月、現ウォンテッドリーを設立し、Facebookを活用したビジネスSNS『Wantedly』を開発。人と人が繋がることにより、個人の可能性を最大限広げるサービス作りに取り組む。著書に『ココロオドル仕事を見つける方法』がある。
――今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。
仲 キャリアデザインについて、そもそもあまり考えなくてもいいのではないか、というのが私の意見です。ですから、「キャリアデザインをどうしようと考える時間はもったいない。それよりも、目の前にある自分のできることに全力で取り組んだほうが道は開ける」ということを伝えたいと思っていました。まずは、目の前のことに全力でコミットして、バットを振り続けることが大切。そして、一生懸命に何度振ってもバットにボールが当たらなかったなら、諦めて違うバッターボックスに入ればいいと思うんです。その繰り返しを無心で行うことによって、キャリアが開けていくこともあると思っています。
――今回の番組で“興味を持った、あるいは、印象に残った発言や話題”はありましたか。
仲 堀口美奈さんが、人の話しを聞いて魅力を引き出してあげるメンタリングをしているとおっしゃっていたことについて、MCの古市憲寿さんが「本当に駄目な人はどうするんですか」と聞いた場面がありました。その時に、堀口さんが「駄目な人なんていない」と言い切っていたことが、とても印象に残っています。 そもそも弱みと強みは表裏一体です。たとえば、私の視点からすると主体性がないように見える人だって、裏を返せば人の気持ちに寄り添い、サポートできる能力があるかもしれません。強みがない人はいない、ということは会社を経営しながら感じていたので、堀口さんの言い切りは腑に落ちました。
——仲さんは経営者であり、人事権を持っているので、社員のキャリアデザインについて考える立場でもあります。どのような視点で人事施策を行っているのでしょうか?
仲 起業当初は1人しかいなかったのですが、現在は25人くらいいるので、人事については以前より考えるようになりました。前の質問でも答えましたが、やはり適材適所ということはあるのではないでしょうか。収録でも「配属リスク」「配属チャンス」という言葉が出てきました。それについてはいろいろな議論があると思うのですが、理想は、その人が自分でも気付かなかったような能力を経営者や人事部が見抜いて、配属を成長のチャンスにしていくことだと思います。私が心掛けているのは、その人が発言していることで判断するのではなく、行動に目を向けるということでしょうか。行動や仕事の成果を根拠に、どういう業務に向いているか判断する。でも、やっぱりすぐにはわからないです。ですから、人事目線でもキャリアデザインはとても難しい課題なんです。
——キャリアに迷っている視聴者へのアドバイスをお願いします。
仲 自分にとってキャリアとはどういうものなのか、しっかり考えることから始める必要があると思います。自分が働く理由は、食いっぱぐれないためなのか、それとも仕事を通してなにかを実現する人生を歩みたいと思っているのか。 私個人の意見としては、食いっぱぐれないためのルーチンワークは今後、どんどん海外に流出していくと思っています。クリエイティブな高付加価値の仕事をしていかないと、仕事自体がどんどんなくなっていってしまう。そして、クリエイティブな仕事をするために重要なのが、仕事を面白いと思いながら働くことです。ですから、よいキャリアを歩んでいるかどうかは、「面白く働いているかどうか」ということが一つの判断材料になると思います。キャリアという言葉に振り回されず、面白く働いているかどうかを基準に考えることが必要なのではないでしょうか。