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2015.04.24
2013.06.21

慰安婦問題をめぐる日韓のズレとは――憲法と政治のジレンマ【第1回(全4回)】:木村草太×浅羽祐樹

「憲法」をめぐる問題を自分たちの問題として論じた『憲法の創造力』 の著者・木村草太氏と、『したたかな韓国』 で成熟した政治センスを身につけようと提案した浅羽祐樹氏。法学、政治学それぞれの立場から現下の日本が抱える課題を論じていただきました。4回にわたってお届けします。

木村 草太 (キムラ・ソウタ)

1980年生まれ。憲法学者。東京大学法学部卒業。同助手を経て、現在、首都大学東京准教授。助手論文を基に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)を上梓。法科大学院での講義をまとめた『憲法の急所』(羽鳥書店)は「東大生協で最も売れている本」と話題に。著書に『憲法の創造力』(NHK出版新書)など。

浅羽 祐樹 (アサバ・ユウキ)

1976年生まれ。新潟県立大学政策研究センター准教授。専門は比較政治学、韓国政治、国際関係論、日韓関係。著書に『したたかな韓国~朴槿恵時代の戦略を探る』(NHK出版新書)、木村幹・佐藤大介両氏との共著に『徹底検証 韓国論の通説・俗説』(中公新書ラクレ)。

第1回は、政治体制の違いから、「橋下発言」を通して見えてくる「慰安婦問題」や「強制性」についての認識のズレまで、日韓のジレンマについて、忌憚なく解説していただきました。

制度がゲームを決める

木村  浅羽さんのご本を読ませていただいて、考察の出発点となるべき国連憲章や日韓基本条約の内容が、しっかりと説明されていて、浅羽さんは法学リテラシーが非常に高い政治学者だと思いました。今日は、まず、私から浅羽さんに質問して、そのあとで、浅羽さんから私に質問をいただこうと思います。

 韓国政治で特徴的なのはやはり大統領制ということになると思います。日本では首相を直接選ぶ「首相公選制」が議論されることもありますが、憲法学の世界では、日本国憲法がそうなっていることもあり、大統領制というのはあまりよくない制度で、議院内閣制のほうがよいと教えることが多いわけです。

 なぜ、大統領制がよくないかという理由の一つに、立法府と行政府が深刻に対立してしまうのではないかという懸念がある。日本のねじれ国会の行政・立法版ですね。そうすると、国政が停滞してしまう。だから、大統領制より議院内閣制のほうがよいのだと言われることが多い。

 憲法学者はそう言うわけですが、浅羽さんは韓国の大統領制をどうご覧になっていますか。

浅羽  私は、憲法、選挙制度、議会や政党の制度など政治制度に注目して、政治を分析しています。政治を一種のゲームとして捉えたとき、プレーヤーがたたかうルールがどうなっているのかが、個々のプレーヤーの行動や相互作用、さらにはその国の政治の質を規定すると捉えるわけです。

 確かに、韓国は大統領制で、日本の議院内閣制とは異なる政治制度を有しています。しかし、実は1960年から61年までの一年間ですが、今の日本とまったく同じ制度だったことがあります。議院内閣制で二院制。しかも、第二院は日本に倣ってその名も「参議院」でした。その権限も今の日本と同じように非常に強いものだったために、第一院と第二院の間でねじれが生じると、国政が停滞してしまいました。

 その結果、最終的には1961年5月16日に今の朴槿恵(パク・クネ)大統領の父である朴正煕(パク・チョンヒ)、当時・少将が起こした軍事クーデターによって民主体制が崩壊してしまいました。もちろん、だからといって、そこから類推して日本の政治も同じように崩壊すると主張したいわけではありません。それは乱暴な議論です。しかし、強い第二院を有している議院内閣制の失敗の経験として韓国政治を捉え、それに照らし合わせて日本の政治を考えることもできます。

 このように、政治制度に注目することで韓国政治をきちんと分析できるだけでなく、韓国というケースを参照することで日本政治についてもより理解しやすくなるのではないかと思っています。

日韓の政治の仕組み

木村  大統領制をとる国ではしばしば、大統領の属する政党と立法府の第一党とが異なる場合があるわけですが、そのような場合、大統領府や立法機関はどうふるまうのですか。

浅羽  現在、朴大統領は議会で過半数を持っていますが、おっしゃるように、しばしば大統領の属する政党と立法府の第一党とが異なる「分割政府」になります。与党が議会の過半数をとれないと、議会対策が大変になります。そうしたとき、例えばアメリカの場合は、法案ごとに野党の議員とも交渉や取引をして賛成してもらう、いわば一本釣りをするわけです。

 ところが、韓国の場合、アメリカと違って政党の規律が与野党を問わず非常に強いのです。そのため、与党がこぞって賛成する、野党がこぞって反対するというかたちになりますので、個別に取引が成り立ちにくいのです。

 これは政治の仕組み、政治制度によって規定されています。韓国の場合、現行憲法が変わらないかぎり、大統領選挙は五年に一回、議会選挙は四年に一回というサイクルで実施されます。次の議会選挙は2016年4月ですが、議員にしてみると、自分の選挙を見通して、今、大統領に協力したほうが得なのかどうかを常に考えています。野党議員の側に、なかなか個別の法案で大統領に協力するというインセンティブ(動機付け、誘因)が働かないのです。

 ですから、一旦ねじれて、分割政府になってしまうと、大統領は統治の困難に直面することになります。現在、朴大統領は過半数を持っていますが、議会の仕組みが昨年変わったことが重要です。五分の二の議員が反対すると審議を先延ばしにすることができるようになりました。アメリカでいうフィリバスター(無制限討論)です。

 朴大統領は議会で過半数を占めているとよく言われますが、このフィリバスターという議会制度の変化の意味がほとんど伝わっていないようです。五分の三を超えると無効化できますが、次の議会選挙でそうなることはまず無理です。ということは、朴大統領は事実上、議会に対する統制権を持っていないということになります。ここでも、やはり、政治制度が重要です。

木村  韓国では、そうした困難に直面したときに、議院内閣制にしようという声があがってきたりしないんですか。

浅羽  議院内閣制は不人気です。1961年に体制が崩壊したのは議院内閣制だったからだというように政治制度に対する評価が記憶として残っています。インスティテューショナル・メモリー(institutional memory、制度としての記憶)として継承されているわけです。

 もちろん、本当は、そこには、複合的な要素が関係しています。議院内閣制でも一院制だったら違っていたかもしれません。二院制でも、第一院と第二院の間の関係において、第一院がもっと強いものであれば違っていたでしょうし、たとえ権限が同等でも、それぞれの選挙制度が違っていればまた違っていたでしょう。けれども一般的には、そうした様々な政治制度が全体としてどういう効果を及ぼすのかに関する議論は抜きに、「議院内閣制はクーデターを招いてしまった劣った政治制度」として理解されています。

 ですから、大統領制から議院内閣制に変えようという議論より、大統領制のあり方を見直そうという議論のほうが支配的です。具体的には五年一期の大統領制ではなくアメリカのような四年二期へと任期と当選回数制限を変えて、大統領の責任を問えるように制度改正をしようという議論は常にあります。

木村草太さん。

 

大統領制のメリットは?

木村  議院内閣制がダメだからという消極的な理由のほかに、大統領制だからよかったという経験は何処にあるのでしょう。

浅羽  一般に強いリーダーシップが期待できる点だと思います。今回の本に書いた少子高齢化問題のほかに、日韓が共通して抱えている政策課題として、通商政策や産業政策があります。両国とも自由貿易体制で成立している国で、特に韓国はGDPのほとんどが海外との輸出入で成り立っています。自由貿易を進めていく一方で、農業や漁業など第一次産業はどんどん国際競争力を失っていくという現実があります。韓国もかつては日本と同じような政策をとっていて、第一次産業が衰退するに任せていましたが、ここ最近、政策転換をして、日本からするとうらやましいかぎりです。

 例えば漁業では、韓国は欧米で標準的な資源管理政策を導入して、漁獲高をV字回復させました。漁獲高を個別の船に割り当てるという政策です。漁獲高が決まっていると、魚は大きくなればなるほど高く売れるので、漁師は魚が大きくなるまで待ちます。乱獲は防止され、幼魚を残すので資源再生も可能になります。他方、日本は依然としてオリンピック方式のままで、漁船が一斉に出ていって早獲り競争で小さい魚も含めて捕ってしまいます。小魚は値がつかず、本来は再生可能な資源を根こそぎ捕ってしまうから、持続性もなくなるという悪循環に陥っています。

 大統領制をとる韓国は、先に他国で成功した政策を見て「正解」が分かれば、政治の「均衡解」をそちらに移すことがしやすいわけです。他方、日本は、そうした選択をしたほうが全体としては得することが分かっていても、個別には損をするプレーヤーの力が強くて、現状が均衡になってしまっていますので、正解が分かっていても公共政策をそちらに転換しにくいのです。韓国は大統領個々人のリーダーシップが優れているというよりも、大統領がリーダーシップを発揮しやすい政治制度になっているのだと思います。

韓国の憲法裁判所が強い理由

木村  行政と立法ということに続いて、今度は司法、とりわけ憲法裁判所についてうかがいます。ご著書の中でも憲法裁判所の話が出てきていましたが、韓国では1988年から違憲判決が数百にのぼっている。これは、日本人の感覚としてはちょっと多すぎるなと感じられます。これだけ違憲判決が出ると、立法府も、国民も混乱すると思うのですが、韓国では冷静に受け止められているのでしょうか、それとも、こういう状況はけしからんという声もあるのでしょうか。

浅羽  韓国の憲法裁判所は違憲法律審査だけではなく、国民から直接、憲法訴訟を受け付けてもいます。日本のように三審制で一審から上がってきて憲法判断は最終的に最高裁で決着がつくというかたちではなく、国民が直接、いきなり憲法判断を求めることができるのです。ですから、韓国ではアクティブになります。とはいえ、憲法裁判所が成立した当初は、誰もあまり期待していませんでした。全部で15人いる裁判官は古い建物の大部屋に入れられていたくらいです。それが、あれよあれよという間に次々と違憲判決を出したのです。

 このように司法積極主義に立つ憲法裁判所ができた経緯について少しお話ししておきましょう。1987年から88年にかけて民主化したときに今の憲法体制ができたのですが、当時は金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧泰愚(ノ・テウ)の三人の勢力が拮抗していて、誰が大統領になるか分かりませんでした。勝者が不確実だからこそ、当事者三人が合意して大統領の任期を五年一期にしました。そうすると負けても最悪十年経てば自分にチャンスが回ってくるからです。実際、三人とも大統領になりました。それだけでなく、大統領の権力を縛るために、強力な憲法裁判所と選挙管理委員会をつくりました。韓国の選挙管理委員会は選挙法違反の取り締まりもできるし、選挙法の改正案を議会に提出することもできます。準司法的機能と準立法的機能を有していると言えるかもしれません。興味深いのは、当初の憲法改正に関わった三人の大統領が去ったあとも、依然、大統領の行動を縛っているということです。

 憲法裁判所だけでなく選挙管理委員会も国民によって選出されていない機関ですが、非選出部門が選出機関に対して強い権限を有しているのが韓国の政治制度の特徴です。それによって、政治のプロセスの外から縛っているのです。これでは勝った側も無茶苦茶できません。

木村  憲法裁判所については制度改革の議論は出てきているんですか。

浅羽  「大法院」という日本の最高裁判所にあたるところと憲法裁判所という二つの司法機関の間の権限を調整するという案は出ています。

浅羽祐樹さん。

 

日韓で価値観は共有できているのか

木村  次に韓国の国民性についてうかがいます。浅羽さんがいろいろなところでおっしゃっているように、何となくお隣の国ということもあって、無意識に日本人は韓国のことを日本と同じようなものだと思いがちなところがあります。法の支配とか立憲主義というのは日本に根付いてはいると思いますが、韓国も同じようにやってくれているだろうと思うと、実はそうではないところがある。「国民情緒法」という、法ならぬ法が韓国を支配している面があると浅羽さんは書かれていますね。

 米本昌平先生という遺伝子の研究をされている先生が『バイオポリティクス 人体を管理するとはどういうことか』(中公新書)で書かれていましたが、少し前にソウル大学の獣医学部の研究者による大規模な論文の改ざん事件があった際、たくさんの人間の卵子を集めて実験をしていたことが判明したと。これは先進国の倫理水準では考えにくいけれど、韓国ではそれに歯止めがかからなかったのかと驚いたとのことでした。

 これは一例ですが、我々と共有されているだろうと思える点と、共有されていない部分があると思います。浅羽さんは、どういうところが一番、日本と韓国の国民性、あるいは社会の意識として違うと思われますか。

浅羽  外務省のホームページには、「韓国は我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値を共有する重要な隣国である」というように、思い入れの強い用語で日韓関係について規定しています。このように「基本的価値」の共有が書かれているのは、韓国以外ではアメリカだけです。

 一方、かつて、「自由と繁栄の弧(the arc of freedom and prosperity)」という「価値観外交」の構想の中に入っていたインドやオーストラリアに関しては、そうした言及はまったくありません。貿易額がいくらだとかビジネスライクなことが書いてあるだけです。そのくらい、日本と韓国は「基本的価値」を共有しているということを日本政府は強調しています。

 木村さんがおっしゃった、法の支配や立憲主義というのも、日韓両国が共有するという「基本的価値」に含まれているはずです。実際、朴大統領は「約束と信頼の政治家」というのをキャッチコピーに掲げ、100万票以上の差をつけて当選しました。

 しかし、本当に「約束」が守られるかどうかという点に疑いが出てきています。対馬の盗難事件(長崎県の寺院から盗まれた仏像の返還を韓国の地方裁判所が差し止めた)にしても、韓国側は14世紀に日本の倭寇が仏像を盗ったから返す必要はないと言っています。しかし、仮にそうであったとしても、その後長い間善意の第三者が平穏に所持していたわけですから、日本側に占有権はあるでしょう。また、靖国神社の放火犯に対して、日韓の間には犯罪人引き渡し条約があるにもかかわらず、政治犯だと認めて出身国の中国に出国させる事件もありました。そうした一連の事案に、韓国の「法の支配」への疑いが出てきているわけです。

 日韓で諸々の約束ごと、条約を結んでいて明示的に書かれているにもかかわらず、その約束が守られていないのではないか、さらには韓国という国の成り立ちの根本に日本と同じような法に対する信頼があるのか、ということに対する疑いが日本の中で生じています。局面が変わりつつあるのではないかと思っています。

 とはいえ、これまでのところ、朴大統領は問題を正しく認識しているし、アプローチも妥当だと思います。韓国社会が「国民情緒法」と呼ばれるような、政治がその時々のポピュリスティックな動きに左右されてきた風潮に懸念を抱いていて、それに対して法の支配を強めることで対処しようとしています。もちろん、まだまだ過渡期ですから、さまざまな問題が今、出てきているんだろうと思います。朴大統領は愚直なくらい約束を守ってきていますから、日本もそうした相手の現状を正しく認識して、彼女が法の支配を進めていけるような方向で日韓関係をつくっていければと思います。

 朴大統領が動ける幅を狭めるようなところにボールを投げてしまうと、むしろ日本の対応も難しくなってしまいます。日本の普通の法感覚とは違和感がありますが、可能性もあります。まだまだ過渡期ですから、アンビバレントな部分を見ていきたいと思っています。

国内に閉じた議論から脱却を

木村  浅羽さんは、韓国内における世論の突き上げ、特に反日世論に対する韓国政府のとれる選択肢は非常に狭い、日本はそこを考慮して対応すべきと書かれていました。また、安全保障、領土問題一般についても、相手国との関係や経緯だけでなく、まず国際法でどうなっているかというところからアプローチして、日本政府がとることのできるオプションは何かを考える必要があるのだとおっしゃっています。日本人は、日本の中で完結する議論が好きです。私も、それは非常に問題だと思っています。憲法9条にしても、国連憲章と関連づけて議論されることはほとんどない。

 今後の日韓関係を我々が考えていくうえで、国際的視野、国際秩序を視野におさめるためにはどうしたらいいのか、ヒントがあったら教えていただけますか。

浅羽  木村さんの本の終章でも、憲法9条を論じる際は、国連憲章でそもそも武力の行使は基本的にできないことになっていることを踏まえて議論しないといけないのに、日本国内の議論はまったくそれがなされていないということを書かれていましたね。日韓関係においても、慰安婦問題については日本国内での議論と国際的な議論で焦点があたっている部分が完全にズレています。

 橋下徹大阪市長などがこだわる、「慰安婦の募集に際して日本軍の関与があったのかなかったのか」、いわゆる「強制連行」、狭義の「強制性」の有無という論点は、国際社会で問題になっているポイントではありません。米国下院決議をはじめ、国際社会で問題になっているのは、戦時下における女性の人権問題としての慰安婦問題です。

 狭義の強制性があったという点については、確かに文書では裏付けられていません。では、狭義の強制性が「なかった」ことを証明すれば日本の「勝ち」なのでしょうか。

 そもそも、一般論として「ない」ことの証明は難しいわけですが、仮に証明できたとしても、国際社会で日本の主張の正当性が認められるわけではありません。「本人の意図に反して」連れていかれた、働かされていたという事実は広義の「強制性」にあたり、戦時下における女性の人権問題として、国際的な人権レジームに反するものだとして捉えられています。ですから、狭義の強制性の有無にポイントを置く議論は、国際社会ではまったく争点になっていないところにこだわっているわけです。

 そうしたことを承知のうえで、問題提起のためにあえて波紋が起きる行動をとるなら別です。政治的な責任は今まさに橋下氏自身が負っています。語弊のある言い方を承知で申し上げると、今回の橋下さんの一件は、結果的にはよかったのかもしれません。今回、彼が国際的な議論の「地雷原」を歩いて「自爆」してくれたので、どこを歩くと大変なことになるということを今の政権与党、安倍総理がはっきりと認識したはずです。その意味では政治的な教訓は残りました。安倍総理はその後、明らかに言動を軌道修正しています。

 6月1日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で小野寺五典防衛相が「不適切な発言を繰り返し、周辺国に誤解と不信を招いた。安倍政権はそのような発言や歴史認識にくみしない」と明言して、米韓から一定の評価を受けました。自爆したのが野党第二党の共同代表だったのは不幸中の幸いでした。

木村  橋下さんは、狭義の「強制性」という議論と別に、おそらく、「他の国もやっていたではないか」というアプローチで国際交渉をするべきではないかというメッセージも発信していると思うんですが、それについてはどうですか。

浅羽  それこそ誰が言うのかという問題ですよね。「お前が言うか」という話です。もちろん、ベトナムとの間で韓国軍もやっていたとか、いろいろ言えることはあると思います。しかし、それは韓国自身の問題です。韓国は韓国でその問題に取り組んでいますし、大統領もベトナムに行ったときに謝罪しています。今、韓国国内で、日本で問題になっている状況から照らし合わせて、自国の同じような問題を取り上げようという動きが出ています。だから、それは我々がわざわざ指摘するような事柄ではないと思います。

木村  そうした取り組みを韓国がしているということも正しく認識しないといけないということですよね。

日曜朝の開催にもかかわらず、満員御礼に。改憲論議への関心の高さがうかがえます。

 

【第2回】へ続く…

 

構成:河村信

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