「僕らの国際関係論」番組収録後インタビュー:木村草太
9月29日 0:00~放送予定のニッポンのジレンマ「僕らの国際関係論」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。
木村 草太 (キムラ・ソウタ)
1980年生まれ。憲法学者。東京大学法学部卒業。同助手を経て、現在、首都大学東京准教授。助手論文を基に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)を上梓。法科大学院での講義をまとめた『憲法の急所』(羽鳥書店)は「東大生協で最も売れている本」と話題に。著書に『憲法の創造力』(NHK出版新書)など。
―今回、他の出演者のコメントで印象的だったもの、また、持ち帰って考えてみたいと感じた論点はありましたか?
木村
いろいろあったのですが、マージナルな領域にいる人々の人権や居住の問題など、国境の問題で困っている人が国内にもいる、という陳天璽さんの発言は、非常に重たいものでした。憲法学者として、真剣に取り組まなくてはいけないと思います。
国境が絡む問題は、それに関する制度自体が非常に複雑な上に、民族主義の感情も絡んだりして、大変扱いが難しくなります。さらに、解決のためには、他の政府との調整も必要です。そうした領域では、精確な理解に基づき、粘り強く思考を巡らせることが大切です。具体的にどうルール作りをしていくべきか、今後、考えて行きたいと思います。
あと、休憩時間に、青井アナウンサーから「学生さんに怒ったりするんですか?」とのご質問を頂いたのですが、私の気の弱い部分を適切に指摘する御質問でドキリとしました。
共演者のみなさんのご著書を読みますと、非常にアクティブないしアグレッシブな筆の運びで、ちょっとビクビクしていたのですが、実際にお会いしてみると、みなさんとても物腰がやわらかく、ディスカッションでも気を配って下さり、とても楽しかったです。
―今、行きたい国はどこですか。
木村
イギリスです。憲法研究者としては、アメリカ憲法とドイツ憲法への興味が強いのですが、文化的にはイギリスに惹かれています。
好きな小説といえば、ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイクガイド』、コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』、トールキン『指輪物語』など、イギリスのファンタジー・SF作家のものが浮かんできますし、シェイクスピアも好きです。そう言えば、NHKで放送されていた『レッド・ドワーフ号』も大好きでした。
イギリスの、真顔で正確に語られる、独特のユーモアが私のツボなのです。「私が待ち合わせ場所に着いて最初に目にしたのは、ジョージのコートだった。そして、その中にはジョージがいた。」みたいな。それはロンドン五輪の開会式にもよく現れていたと思いますが、皆さんは、どう感じられたでしょうか。