「情報って何だ? WEB2.0は今」番組収録後インタビュー:寸
2014年11月30日(日)0:00~01:00[11月29日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「情報って何だ? WEB2.0は今」収録後、寸さんにインタビューを行いました。
寸 (スン)
慶應義塾大学環境情報学部卒。在学中よりカルチャー批評誌「モンスーン」の編集に携わる。またライターとして「relax」「スタジオボイス」「装苑」「美術手帖」などの雑誌に寄稿。2005年、株式会社ミクシィ入社。「mixiニュース」立ち上げと編成をおこなう。2012年、株式会社はてな入社。「はてなブックマーク」などのメディア開発にかかわる。2014年、デザイナー大原大次郎と新感覚の句集「ハロー風景」を発行。恵文社一乗寺店、下北沢B&Bで句会を催すなど、本からワークショップへ活動を広げている。
――今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。
寸 テクノロジーと集合知がニュースを決める社会もそんなに悪くない、ということを伝えたいです。ニュースの世界でもロボットと人間は共生できると思います。人間の仕事は少なくなるかもしれませんが、詩を書いて心をうるおすことができます。ロボットも俳句を詠むようになるかもしれませんね。もう一つ、お金も大事ですが、ジャーナリズムには良識と礼節が備わっているべきだ、ということ。インターネットに翻弄されるのではなく、どうありたいか、ということが大事なのではないでしょうか。
――今回の番組で“興味を持った、あるいは、印象に残った発言や話題”はありましたか。
寸 米重克洋さんの「衣食足りて礼節を知る」という言葉がキーワードになりましたね。ぼくは「紙の世界の人のほうが、おしゃれでおいしいお店を知っている」という発言をしましたが、まさに衣食の話ですよね。つながっているな、と思いました。出版という独占的なプラットフォームに守られたサロンから生まれる、趣味と嗜好もあるのだと思います。また、『ホールアースカタログ』の話を少ししましたが、「Stay hungry, stay foolish」という言葉も、「衣食足りて礼節を知る」を、反対側から語ったものではないでしょうか。
――今後、「出版」はどう変わっていくと思いますか?
寸 古書やZINEを扱う新しいタイプの本屋さんがふえています。手続きを踏めばだれでもAmazonへ出品できるなど、インディペンデントな本作りの環境はとてもよくなっていると感じます。ソーシャルメディアの浸透で、たくさん売れなくても気に入ってくれる人にちゃんと本が届く社会になりつつあります。すばらしいことだと思います。インターネットに対して、物としての本の良さはますます際立つでしょう。この変化が、さらに広がってほしいと思います。
――(進化するウェブとの関わりという点で)今後のご自身の目標を教えてください。
寸 ぼくは、一方でアルゴリズムにより自動化されたメディアにかかわりながら、もう一方で、とても個人的な、趣味性の高い詩とデザインの本を作っています。現在のアプローチは、ちょっと極端かもしれないな、と、今回の収録を経て感じました。はっきりとした目標はありませんが、これから少しずつ、新しいやりたいことが見えて来るような気がしています。そのプロセスを、ゆっくりブログに書き残していきたいなー、と思っています。