「ネットの“みんな”は今どこに?~参加とポピュリズムのジレンマ~」番組収録後インタビュー:Tehu
2014年10月26日(日)0時~[10月25日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「ネットの“みんな”は今どこに?」収録後、Tehuさんにインタビューを行いました。
Tehu (テフ)
ディレクター・クリエイター。2009年、私立灘中学2年時にiPhoneアプリを開発。国内3位のヒットを記録し、中学生プログラマーとして話題を集める。以降、プログラミングとデザインを軸に様々なウェブサイトや企画を制作。著書に『スーパーIT高校生”Tehu"と考える創造力のつくり方』(共著・角川書店)。
——今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。
Tehu インターネットで起こっているさまざまな問題はインターネットのせいではなくて、人間が持っているそもそもの問題がインターネットによって可視化されているだけだということです。だから、本当の課題は人間自体をどのように変えていけるかということのはずです。さらに、そういうことにインターネットをどう活用していけるかという発想をベースにして、出演者の方々と議論できればいいと思い、本日の収録に臨みました。
——今回の番組で“興味を持った、あるいは印象に残った発言や話題”はありましたか。
Tehu 現在のインターネットでは、まとまることが目的化しているという話がありました。「趣味が一緒だからまとまろう」ではなく、「まとまってなにかをしよう」という発想ですね。
ネット右翼の問題でも、はじめは中国や韓国を批判するために集まっていたのかもしれない。でも、今は誰かを批判している人たちの周りにみんなが集まってくること自体がコンテンツ化、エンターテイメント化しているように思います。
正直、誰にでもそういうことを楽しんでしまう側面はあると思うんです。僕にだってあります。そうした、自分の中にある“内なるネット右翼”的なものに、自覚的にならなければいけません。
——インターネットに向き合う際に、どのような心がけが必要でしょうか。
Tehu まとめサイトなどのサイトが力をつけてきたこともあって、専門家であっても、一般の人であってもネット上での発言が等価で扱われるようになってきました。
しかし、ネットの向こう側で書き込みしているのは神でもなんでもなく生身の人間です。嘘をつく人もいるし、絶対にわかり合えない人もいる。ネットは、「会話」をすることが難しいメディアです。会話と思われているものも、実は単なる投稿のし合いで、コミュニケーションになっていない場合があります。だから、話が通じなくて当然なのです。
——視聴者にメッセージをお願いします。
Tehu 人間の可能性は無限大です。インターネットで触れたものだけが世界だと思うのではなくて、「もっと広い世界を知りたい」という欲求を僕は大切にしていきたいと思います。現在はたとえ好奇心ない人にも、ネットによって情報がいくらでも入ってきます。その情報を好奇心によって振り分け、どのように掘り下げていくかが大事になると思います。