「今そこにある 無業社会」番組収録後インタビュー:吉田浩一郎
2014年9月28日(日)0:00~01:00[9月27日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「今そこにある 無業社会」収録後、吉田浩一郎さんにインタビューを行いました。
吉田 浩一郎 (ヨシダ・コウイチロウ)
1974年生まれ。株式会社クラウドワークス代表取締役社長兼CEO。 国内メーカー、外資系企業、ベンチャー企業を経て、インターネットを活用した「時間と場所にこだわらない働き方」に着目し、2011年11月クラウドソーシングサービスを創業。著書に『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる』(ダイヤモンド社)、『世界の働き方を変えよう』(総合法令出版)がある。
——今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。
吉田 私自身は、インターネットで不特定多数に仕事を発注する「クラウドソーシング」というサービスを通して、新しい働き方を作ることに貢献したいと考えています。ですので、個人が自分の意志でいろいろな会社と取り引きできる可能性が生まれているということを、まずは伝えたいと思っていました。アルバイトでさえも、働きたいのに働けない状況があることは大きな問題です。でも、クラウドソーシングなら少額からでも稼ぐチャンスが開かれていますし、それが職業訓練になってスキルアップすることも可能になります。
——今回の番組で“興味を持った、あるいは印象に残った発言や話題”はありましたか。
吉田 VTRで登場したジャーナリストの佐々木俊尚さんが「インターネットによって自身の行いが可視化され、それが信頼の担保になる『総透明化社会』が一つの救いになるのではないか」という主旨の発言をしたのに対して、スタジオからは「それだけでは息苦しい人が生まれるのではないか」「インターネットのオープンなあり方はプラスにはなるが、それだけではセーフティーネットの問題は解決できない」とのコメントが出ました。そもそもインターネットを上手く使いこなせない人たちも、世の中にはたくさんいます。インターネットだけでは社会はよくできず、既存の社会のなかで最適化を図っていかなければいけないと考えています。さらには、現在の社会保障は固定的になっているので、民間の力で新しいセーフティーネットを作っていかなければいけないなと感じました。
——無業社会を解決するために、どのようなことが必要だと思いますか?
吉田 伊藤洋志さんは、身近な人たちに働きかけて生き方を変えていこうと、古民家を修繕するなどの活動をされていると伺いました。現代はあのような形で、周りの人に声掛けしたり、つながりを持とうとしたりする気持ちが薄れてしまっているように感じています。インターネットでもリアルでもどちらでもいい。周りに関わっていこうとすることこそが、セーフティーネットを維持する意味で必要になるのではないでしょうか。インターネットを使えば距離の制約がないので、たとえ隣に住んでいなくても気が合う人たち同士が繋がりを持つこともできます。個人レベルだけではなく、国家や企業が人々を繋がりやすくするサポートをすることが、無業社会に対してできることだと思っています。
—視聴者にメッセージをお願いします。
吉田 無業社会という今回のテーマであぶり出された事実は、視聴者の方にとっても衝撃的なものだと思います。今までは、働きたくないから無業なのだ、というイメージがありましたが、実際は、足元には働きたくても働けない人がたくさんいるという現状がある。これは、現在無業ではない人たちもしっかり考えなければいけない問題だと思います。無業社会に対して「無関心社会」になってしまうことが、一番怖いことですから。