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2015.04.24
2014.07.17

「僕らのアグリビジネス論」番組収録後インタビュー:宮治勇輔

2014年7月27日(日)0:30~01:30[7月26日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「僕らのアグリビジネス論」収録後、宮治勇輔さんにインタビューを行いました。

宮治 勇輔 (ミヤジ・ユウスケ)

1978年生まれ。株式会社みやじ豚代表取締役社長。特定非営利活動法人農家のこせがれネットワーク代表理事。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、株式会社パソナに入社。2005年に退職後、実家の養豚業を継ぎ、2006年に株式会社みやじ豚を設立。生産は弟、自身はプロデュースを担当し、兄弟の二人三脚と独自のバーベキューマーケティングにより2年で神奈川県のトップブランドに押し上げる。みやじ豚は2008年農林水産大臣賞受賞。

――今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。

宮治  一般的にメディアでは、日本の農業は国際競争力がなくて、大規模化を図らないといけないという論調が多数を占めていると思います。しかし、そうではなくて、たとえ規模が小さくてもやり方によって魅力的な仕事になるということを一番訴えたかったです。私の経営している養豚場の規模は平均の半分未満ですが、それでもビジネスとしては十分に成り立ちます。一次産業は、かっこよくて・感動があって・稼げる“3K産業”なんです。

――今回の番組で“興味を持った、あるいは、印象に残った発言や話題”はありましたか。

宮治  浅川芳裕さんが、「日本の農業は面積当たりの付加価値が世界一」だとおっしゃっていました。このデータは知らなかったので単純に「そうだったのか」と驚きましたし、やはり付加価値をどんどん上げていくことが日本の農業が生き残る道なんだと確信しました。「国際競争力=大規模化によるコストの削減」のような方向だと付加価値が下がり、逆に日本の国際競争力を落とすことになってしまうという、私の考えに間違いがないことを再認識できました。

――農業の魅力を教えてください。

宮治  仕事と生活を前向きに一緒にできるということが一番の魅力だと思います。仕事とプライベートを分けたいと思っている方が増えている中で、自信を持って自分の人生を賭けることができるくらいのやりがいがある仕事です。農業ならば自分の思った通りの働き方と生き方を両立し、なおかつ工夫をすれば十分に稼ぐことも可能です。

――日本の農業が抱える課題は何ですか。

宮治  農家が販路を複数持っていないことです。ある特定の市場に全量出荷するという状態では、完全なる買い手市場になってしまいます。つまり、買い手が強くなる。だから、農作物の相場が下がってきているのではないでしょうか。それを防ぐためには、生産者側がどの市場に売るか選択肢を持つことが必要です。消費者までの販路を自分自身で開拓するしかありません。特定の市場がすべて買い上げてくれるという流通のシステムに乗っかるのではなく、視野を広げて販路拡大をしていけば農業の持つ可能性が広がるはずです。