「“救国”の大学論2014」番組収録後インタビュー:山崎大祐
2014年4月27日(日)0:00~01:00[26日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「救国の大学論2014」収録後、山崎大祐さんにインタビューを行いました。
山崎 大祐 (ヤマザキ・ダイスケ)
1980年生まれ。株式会社マザーハウス取締役副社長。慶應義塾大学総合政策学部在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券入社。エコノミストとして、日本及びアジア経済の分析・調査・研究や各投資家への金融商品の提案を行う。07年3月同社を退社し、株式会社マザーハウス取締役副社長に。
――今回はニッポンのジレンマへ初めての参加です。感想などあれば。
山崎 テーマが“大学論”ということでしたが、いちばん感じたのは大学という場所のむずかしさです。番組内の議論にも出てきましたが、大学は「研究」と「教育」という二つの場所を兼ねています。「研究」と「教育」の効果を数値化するのは、議論のなかで教育経済学者の中室牧子さんもおっしゃっていましたが、非常にむずかしいものです。単純に理解度を測るだけであればよいのですが、今行っている研究が、今受けている大学教育が、10年後、20年後に花開くかもしれない。特に受けた教育に価値があったかどうかを数値化するのは本当にむずかしいと思います。
議論してみて気づいたことに、今回集まった4人はスタンスこそ違えども、根底では基本的に学生を愛しているということがあります。それがあったからこそ、議論がかみ合ったのだと思います。結局のところ、大学の教授はまず学生を愛せるかどうかが大事だと僕は思います。番組の最後の方にも言いましたが、やはり大学は人間性を育てる最後の「教育」の場所です。僕自身も大学時代にあたたかく、時には厳しく教授に指導していただいたから今の自分があると思っていますので、その点は強調しておきたいですね。
――今回の番組のなかで、いちばん伝えたかったことは何ですか。
山崎 最後に申し上げた「大学は自分を変える最後の場所だ」ということです。もちろん、社会に出てからでも人は変わっていくと思うのですが、社会人は大学生ほどの自由な時間はありません。特に日本はそうですよね。本来は社会人になっても自由な時間を持つべきだと思いますが、日本の社会にはその余裕がないのでしょう。大学生の余りある自由な時間のなかだからこそ、自分と向き合っていけるし、人の目だけではわからない自分を見つけられるのだと思います。一般的に、大学に「人間性、人間力を身につけよう」と思って行く人はいないですよね。だからこそ、学問とは、自分とは、社会とは何か、また自分のやるべき仕事は何かを見つめなおすツールとして大学を使ってほしいと思います。
――番組の視聴者のなかには現役の大学生もいます。メッセージなどあればぜひ。
山崎 好きなものをたくさんつくってほしいですね。もっと自分が興味を持ったものに純粋に打ち込み、きちんと向き合ってほしいと思います。本気でぶつかっていくなかで、本質が見えたものは絶対に価値があります。本気で人のことを好きになる“恋愛”でもいいわけですよ。本気のことは何をしても役に立つはずです。まあ、その好きなものの一つに“勉強”も入れてほしいのが本音ですけど(笑)。学ぶことの楽しさを教えてあげられるかどうかも、先生の力量によるところが大きいと思いますので、それはそれでむずかしいところもありますが、好きな学問もぜひつくってみてください。