「“言葉はどこまで届いているか?” ~ジレンマフェス2014~」番組収録後インタビュー:津田大介
2014年3月30日(日)0:00~01:20[29日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「“言葉はどこまで届いているか?” ~ジレンマフェス2014~」収録後、津田大介さんにインタビューを行いました。
津田 大介 (ツダ・ダイスケ)
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。 大阪経済大学客員教授。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。
――今回の番組の感想や、印象に残った話題などはありましたか?
津田 NHK「ニッポンのジレンマ」には初参加で、もっとアウェイな雰囲気なのかと思いましたが、意外と話せて良かったです。特に番組でMCを務めている古市憲寿さん。僕もラジオなどで同じ立場にいることがあるのでよく見ていましたが、彼の司会はうまいと思いました。キャラクターは違えど、僕の好きなタイプの司会でした。古市さんは人が油断しているときに次の質問を重ねてくる。間やタイミング、質問の内容もうまい。田原総一朗さんが古市さんを買っているのもよくわかりました。
印象に残ったのは、日本思想研究者の先崎彰容さんの「日本はマジメ過ぎ。過剰だ」という発言です。先崎さんとまったく同じことを感じていて、しかも「30年周期で、それが訪れている」という話もおもしろかったですね。たしかに今から30年前でいえば80年代のバブル期ですし、さらにその30年前ですと自民党の55年体制だなと。「過剰」というキーワードはもう少し先崎さんと話してみたいですね。ちょうど彼は福島県のいわき(東日本国際大学)にいるし、今度いわきで飲みながら話したいですね(笑)。
――今回のテーマは1年間の総集編として“言葉はどこまで届いているか?”で番組自体を考えるような内容でしたが、津田さんご自身はこうしたテレビでの討論などメディア出演をどのように考えているのでしょうか?
津田 メディアが多様化している時代で重要なことは、あらゆるメディアに出ることだと思っています。たとえば、ラジオって古いメディアですけど、すごく可能性があると思うんです。NHKラジオ第1「すっぴん!」パーソナリティーと、J-WAVE「JAM THE WORLD」ナビゲーターを担当していますが、ラジオは言葉が深く届くのだなと思います。たしかにテレビは広く届きますけど、“深く”届くのはラジオです。視覚情報ではなく、言葉そのものを“聴く”ことでリスナーも集中するのでしょう。聴く側が真剣です。ラジオやっていてうれしかったのは、ある番組で初めて漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)の井上雄彦さんにお会いしたときに、「毎週番組聴いていますよ」と言われたことです。実はラジオをずっとつけっぱなしにしているクリエイティブな職業の人ってけっこういて、クリエイターに言葉が届くんですね。ラジオを通じて、言葉が色んな人に届くということを再認識しました。
このようにメディアによって言葉が届く先は違うので、僕はテレビ・ラジオ・雑誌、ネットにも出るし、本も書きます。メディアに出てメッセージを発信して認知されることで、はじめてうねりを起こせると思うので、少なくても僕自身に興味を持ってもらえてお呼びがかかる以上は出るべきだと考えています。もちろん、身は一つなのでバランスはとりたいですけど。NHK「ニッポンのジレンマ」も初めてだったので、おもしろかったです。