サイトの更新中断のお知らせ

次世代の論客を応援するサイト「ジレンマ+」は、 この度、NHK出版Webサイトのリニューアルに伴い、 ひとまず、情報の更新を中断することになりました。 長いあいだご愛顧いただき、ありがとうございました。

2015.04.24
2013.11.26

『新TOKYO論』番組収録後インタビュー:鈴木菜央

2013年12月1日(日)0:00~1:00〔土曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ『新TOKYO論』収録後、鈴木菜央さんにインタビューを行いました。

鈴木 菜央 (スズキ・ナオ)

1976年生まれ。NPOグリーンズ代表・greenz.jp発行人。月刊「ソトコト」の編集を経て独立。「ほしい未来は、つくろう」をテーマにしたWebマガジン「greenz.jp」を創刊。著書に『「ほしい未来」は自分の手でつくる』(星海社新書)がある。

――今回の番組の感想や、印象に残った話題などはありましたか?

 きょうの議論は2020年の東京オリンピックという大きなイベントが決まった前提で話していたわけですが、このオリンピックというものを、僕はどこか遠くのものに感じているのだということを実感しました。僕自身、東京オリンピックというプロセスに参加している感覚もないし、どうしても自分ごとにならないので興味を持てないんですよね。もちろん、スポーツの祭典として“見る”のはおもしろいのですが。オリンピックという〆切に向かって、大きなレベルでの開発はされるんでしょうけど、あくまで、オリンピックはいっときの「祭」なわけです。そこには、東京という都市が、今後数十年間に、一人ひとりの市民が幸せに生きることをどうサポートできるか? という視点は抜け落ちているような気がします。

今、僕はWebマガジン「greenz.jp」の運営を中心に、グッドアイデアを持つ人々が集まるイベント「green drinks Tokyo」の主催、また最近ではクラウドファンディングで資金を集めて東京の真ん中に「リトルトーキョー」という新しいまちをつくり、その運営を始めています。

僕がずっとやってきていることは、要するに個人のエンパワーメントです。みんなにも可能性があるんだよ、見方を変えればおもしろいことができるんだよ、どんどん動いてやっていこうよ、ということがいちばん伝えたいことでもあります。

でも、こうした活動はある程度までくると大きなものにぶつかる時期があるんですね。たとえば、政治や制度が個人のエンパワーメントを応援する仕組みになっていないことがあります。この時期になると、どこか大きなものにアプローチしていかなければ、どうしても先に進めません。社会学者の新雅史さんがおっしゃっていたボキャブラリーや翻訳というのはたぶんミクロとマクロをつなぐ一つの方法であり、きょうのニッポンのジレンマは“どうやって大きなレベルのものとつながっていくか”のヒントとしておもしろかったと思います。

――きょうは建築家・藤村龍至さん、アーティスト・斉藤桂太さん、ともにプロセスに「参加する」というのがキーワードでしたね。

 そうですね。僕もプロセスに「参加する」というのはとても大事なポイントだと思っています。というのも「リトルトーキョー」では「参加したい」「参加できた」という気持ちを持てるかどうかを大切にしているんですね。つまり、「参加する」ことは、多くの市民が自立していく、大人になっていくということであり、責任をとるということでもあります。

藤村さん、斎藤さんとはフィールドが違いますが、違う分野で同じように「参加する」仕組みをつくっていらっしゃることに勇気づけられました。しかもお二方とも誰でも参加できるという意味でレベルが高い仕組みでした。僕もそうした仕組みをもっとうまくつくって、みんなが喜んでくれて、広がったら面白いなと思います。

――番組の視聴者、Webの読者にメッセージなどあれば。

 「greenz.jp」や「リトルトーキョー」では、誰でも参加できるイベントをたくさんやっているので、もし興味を持っていただけたのならば、ぜひ遊びに来てほしいと思います。