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2015.04.24
2013.09.24

「“救国”の大学論」番組収録後インタビュー:税所篤快

2013年9月29日(日)0:00~1:00〔土曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ「“救国”の大学論」収録後、税所篤快さんにインタビューを行いました。

税所 篤快 (サイショ・アツヨシ)

1989年生まれ。e-Education founder & CEO、五大陸ドラゴン桜e-Educationプロジェクト代表。19歳でバングラデシュに渡り、グラミン銀行の研究ラボ「GCC」で初の日本人コーディネーターになる。20歳で独立し、バングラデシュ初の映像授業を実施する「e-Educationプロジェクト」をスタート。2012年にはヨルダン、ルワンダ、パレスチナ、フィリピンでの活動を開始。主な著書に『最高の教室を世界の果てまで届けよう』(飛鳥新社)がある。

――今回の番組で“興味を持った、あるいは、印象に残った発言や話題”はありましたか?

税所  そうですね。いちばんは、古市さんが他の人が転落していくのを見るとほっとしたり、やる気が出ると発言されたことが印象的でした(笑)。僕も多分にそういうことを思うのですが、なかなかああいう場で言えないので、すごいなと思いました。古市さんは時々、そういうドキっとすることを言うのが面白いですよね。
 あとは、北川さんの、「自己尊厳を高めてあげる装置をきちんと準備できていない、日本の教育システムが弱いんじゃないか」という発言に共感しました。その一方で、どうすればそのシステムを作ることができるのか、難しい問題だなと考えていました。誰もが自己肯定感が大切ということはわかっていると思うのですが、実際にそれをどうやって高めるのかという結局は個人任せです。それを大学という場で、何ができるのか、考える余地がたくさんある問題だと思います。

――「憧れの人がいると、目標ができて頑張れる」とお話しされていましたが、税所さんにもそういう方がいたのでしょうか?

税所  そうですね。大学に入学したころに、社会起業系の先輩がいて、その人が本を出版したんです。その本の中で、大学生のときから頑張っていたと書いてあって、非常に感動したんですね。年齢がちょっと上というくらいの身近な存在で、ロールモデルが必要だと思います。得がたい先輩/後輩の関係性が大学という場で作られることが意外とあるんです。つながりは重要です!

――大学は、(学生にとって)より多くの“きっかけ”を準備するべきだという発言がありました。

税所  番組の中で、「大学に求められるのは、“知の探求”だ」という話がありました。そこでいわれている“知”というものが、現状は机のうえで行うものに限られていて、偏っているように感じます。僕は現場との往復を重視していて、現場での体験もあわせて、初めて“知”といえるものが成立するのではと思っています。なので、今の大学には、現場の観点と呼べるものが抜けていて、こちらはそれを大切に感じているというミスマッチがあります。「現場に行ってることも評価して単位をくれ!」という感じです(笑)。マジで単位がほしい!(笑)。
 冗談はさておき、現在の大学の知のあり方だけでは不十分だと思います。両方あって、シナジーが生まれたときに初めて意味が出てくるのではないでしょうか。片方だけだと弱いと思います。

――大学がもっと楽しくなる、具体的なアクションをお考えですか?

税所  番組の最後に少し話したのですが、日本の大学で、社会貢献についてのファンドを作ることはできないかなと思っています。大学生が大学の外で「何かやりたい」と思ったときに支援できるような組織です。お金の面でも、単位の面でも。失敗しても成功してもどちらでもよい。その結果をきちんと研究論文にしていく。そうしたことを支援する社会貢献ファンドを大学で作ってほしいです。そういうシステムがあれば、大学生が現場に出やすいですよね。今のままだと単位があるから授業が抜けられないということがあります。それが、現場に行くことで単位ももらえるし、経済的な支援もあるとなれば、とてもバランスのよい、学びの場になると思います。
 実はこのファンドの話、収録中に思いついたんです。(驚く「ジレンマ+」編集部が「説得力ありましたよ」とコメントすると)説得力ありましたよね?!(笑)。海外では既にやっててもおかしくないし、ぜひ日本でもと思います。