「“いいね”時代のツナガリ論」番組収録後インタビュー:小松真実
2013年5月26日(日)0:30~1:30〔土曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ「“いいね”時代のツナガリ論」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。
小松 真実 (コマツ・マサミ)
1975年生まれ。ミュージックセキュリティーズ株式会社代表取締役。2000年に同社を創業、こだわりを持ったアーティストの活動を支援する仕組みとして音楽ファンド事業と音楽事業を開始する。2006年より音楽以外の分野にも広げ、現在約190本のファンドを組成。2011年「セキュリテ被災地応援ファンド」、2013年「セキュリテエナジー」を開始。
――今回の番組で興味を持った話題、あるいは他の方の発言で印象に残ったものはありましたか?
小松
セキュリテ被災地応援ファンドが「新たなつながり」をつくっていると、出演者のみなさんが賛同してくださったことです。
私たちは、震災前からつくってきたファンドのノウハウを活かして、ただただ必要に応えたいとの思いから、被災された事業者のためのファンドをつくらせていただきましたが、それが結果として「新たなつながり」を生み出しているのではないか、ということです。
私たちのファンドでは、投資家の方々と被災地の方々とのつながりや、投資家の方々同士のつながりが生まれ、ツアーを組んで被災地に自分たちのお金がどう使われているのかを見学に行ったり、できた商品を積極的に購入したり、投資先に就職したりすることなどが行われているのですが、それが「新しいつながり」がもたらす熱のこもった行為である、と番組で議論されたことが印象に残っています。
――空気を読む、読まないという議論がありましたが、ご自身はどう思われましたか? また、なぜそう思うのかなどお教えください。
小松
空気を読み、それを踏まえ、自分がどう振る舞うか――そこが大切だと思っています。迎合する場合もあれば、あえて迎合しないこともあります。迎合したほうがいい空気でも、それを承知で自分の主張を曲げない信念は大切だと思っています。信念もないのに、単に空気を読めないのは、イケてないと思います。
単にコミュニケーションの話ではなく、ビジネスの現場においても、例えば、この業界では普通こうつくる、みたいな空気があります。業界団体に属すと、特にそういう空気が蔓延し、しがらみにまでなることがあります。しかし、そんな空気をものともせず、自分のつくりたいものをつくっていく、かっこよく空気を読まないアーティストや経営者の方々もたくさんいます。私たちの会社では、そういう人たちのファンドをつくりたいと思っています。
――ネット登場以後のネットワークとコミュニティの議論がありましたが、ご自身はネット登場以後、新しく参加された・広がったコミュニティなどはありますか? その変化や可能性などについて、お教えください。
小松
私が会社を立ち上げたのが2000年で、ちょうどインターネットのブロードバンド化が一般化してくる時期で、ネットの普及によって私たちのビジネスが可能になった、ということがあります。アーティストの「こんな音楽をつくりたい」という思いが熱源となり、その熱が伝わるように投資家が増えていく様子は、ネットがあるから広がったコミュニティだと実感しています。
その熱源は、音楽のアーティストだけでなく、酒造りの蔵人、農業でお米をつくる人、アプリを開発する人などなど、どんな事業でも、信念を持って事業をやっていれば、音楽と同じくそのコミュニティがどんどんできて、広がっています。
さらに、ネットの進化によって、コミュニティ=ファンドを通じて、資金調達も行えるようになりました。コミュニティが機能を持ち始めたといえると思います。こうした“共通の熱源を持った”コミュニティは、資金調達を行えるようになったことで、今までの、お金だけを求心力としていた既存のリアル・コミュニティと置き換わる可能性を秘めていると思っています。