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2015.04.24
2012.12.26

「格差を超えて 僕らの新たな働き方」番組収録後インタビュー:城 繁幸

2013年1月1日(火)23:00~25:30放送のニッポンのジレンマ「格差を越えて 僕らの新たな働き方」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。

城 繁幸 (ジョウ・シゲユキ)

1973年生まれ。人事コンサルタント、作家。東京大学法学部卒。富士通を経て2004年独立。06年よりJoe'sLabo代表。各種企業、自治体向け人事制度アドバイザーのかたわら、雇用問題のスペシャリストとしてメディアにて発言。09年からは若者マニフェスト策定委員会の一員として、世代間格差問題にも取り組む。著書に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)、『若者を殺すのは誰か』(扶桑社新書)など。

――「ニッポンのジレンマ」に1年ぶりの出演となりますが、印象に残ったことはどんなことですか?

 まず感じたことは、この1年で番組をとりまく視聴者や世の中の意識が相当前に進んだのではないかということでした。1年前の番組では、我々出演者の意識のほうが一歩先を行っていた。だからこそあれだけの反響があった。しかし、今回は逆に、ひょっとしたら視聴者や世の中の意識のほうが、我々の番組での議論より先に行っているのではないかと。それは、番組内でも申し上げましたが、今回の番組のオーディエンスや、僕と安藤美冬さんが出たプレイベントでの参加者の反応などでヒシヒシと感じました。また、若者マニフェスト策定委員会による衆院選の各政党のマニフェスト評価だとか、ある政党の法案作成に会社として携わることなどを通して、世の中全体も我々の思う方向にかなり進んでいることも実感しています。そういう意味では、番組前半の「格差」問題では、視聴者や世の中は進んでいるという前提で、具体的な制度設計の話や「大きな傘としての社会保障」についてもう少し話したかったという気持ちは残りました。
 他の出演者の方の発言で一番印象に残ったのは、猪子寿之さんが「若者の生産力は圧倒的に上の世代に比べて勝っているのだから、この層がごそっと新しい分野に移るだけで、世の中はガラっと変わるのではないか」と言われたことです。社会的な信用性だとか経験だとか、数値化できないものはもちろんあるのですが、やはり、週2回は徹夜ができたり、がむしゃらに相手に飛び込んでいって許されるというのは若者ならではのことであって、それは本当にそうだなと。この視点は自分にはなかったので、なるほどと感じ入りました。

――2013年のご自身の抱負を教えてください。

 会社としての仕事は別として、自分個人としては、言論活動・情報発信のステージをもう一つレベルアップしたいと思っています。これまで自分は雇用問題の専門家として発言してきましたが、そろそろそれを卒業して、もう一歩上の、教育・社会といった大きな視点で話ができるようになりたい。これは2年くらい前から考えていたことですが、例えば、大学の問題。大学教育の形骸化と終身雇用は密接に結びついていて、その関係が今ドラスティックに変わりつつある。その現実の姿を生き生きと描き出せたらと思っています。