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2015.04.24
2014.09.24

「今そこにある 無業社会」番組収録後インタビュー:西田亮介

2014年9月28日(日)0:00~01:00[9月27日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「今そこにある 無業社会」収録後、西田亮介さんにインタビューを行いました。

西田 亮介 (ニシダ・リョウスケ)

1983年生まれ。立命館大学特別招聘准教授。専門は情報社会論と公共政策。著書に『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』(NHK出版)、『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)、共著書に『統治を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会』(春秋社)、『無業社会~働くことができない若者たちの未来~』(朝日新聞出版)などがある。

——今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。

西田 「働く」ということ自体が昔と比べて変化してきているので、「若者は自分たちの問題を、いろいろな情報を参照しつつも、自分の頭で考えなければいけない」ということです。いろいろなアドバイスや、ネットを紐解けば、無数の情報に出会えますが、それらは煽り気味のものも多く、ライフスタイルが多様化した現代では、自分にそのまま当てはまるということは稀です。焦ったり、煽られたりせずに、自らの将来を自分で選び取っていきたいですね。そのように述べておきながら、他方でもっと気楽に生きていける社会に、半ばユートピアとして憧れます。転職なんて当たり前だし、時には無職になることもあるでしょう。働くことについても、深刻になり過ぎるのではなく、「深刻になり過ぎなくてもやっていける社会」は、実は多くの人にとって快適な社会のように思えます。働いている人も、そうでない人も、正規社員の人も、非正規社員の人もきちんと一律に生存権が保障されるようなセーフティーネットのあり方を再考するべきではないでしょうか。

——今回の番組で“興味を持った、あるいは印象に残った発言や話題”はありましたか。

西田 僕は研究者なので、歴史を調べて、データを分析して、何か示唆を提示することが仕事です。その意味では、なかなか個々の「人間」が前面に出てくることはありませんし、あまり現状肯定的でもないでしょう。現状を肯定するだけなら、研究者が物を書いたり、発言したりする意味に乏しいからです。しかし、古賀和香子さんは、NPO「育て上げネット」を通して現場で多くの当事者と接していらっしゃいます。そういう方の、日々直接現場に寄り添いながらの言葉は重たいですね。常に耳を傾けていきたいです。理論と現場の知識が合わされば、立体的に問題の見取り図を作っていくことができると改めて思いました。

——無業社会を解決するために、政府がやるべきことはなんでしょうか?

西田 歴史的に形成されてきた複合的な要因によって生じている問題なので、一足飛びに解決することは困難です。一見、遠回りですが、「日本のセーフティーネットのあり方とはどういうものなのか」という議論を喚起していく必要を感じます。そもそも僕たちはどのような福祉を求めているのか、という議論がないのは、これから大きな構造転換を迎えるはずの日本社会、そしてその福祉の戦略上致命的です。僕は、働き方や生活スタイルにかかわらず、生存権が保障される必要があると考えていますが、総合的に見て、今の日本の広義の福祉はそうなっていないように見えます。また、公務員、会社員、個人事業主などによって共済や年金の仕組みが違うのは不公平で、明らかに働き方の多様化に対応できていないでしょう。これらは、各々の職業間で度重なる移動がないという前提で作られているシステムです。しかし、現在の僕たちは無業になることもあれば、個人事業主や会社員になることもあるわけです。それらについて考慮されていないといわざるをえません。

——インターネットによる「弱いつながり」がセーフティーネットになるという議論もありましたが、どのように感じましたか?

西田  ITを通したセーフティ・ネットには、常に、誰にとっても同じパフォーマンスを発揮することは期待できるわけではありません。Twitterのフォロワー10万人の人と100人の人とでは、「弱いつながり」から得られるメリットは大きく違いますよね。自分ではなく、妻子や家族など「自分がもっとも大切な誰か」の生存や生活を、そのようなアドホックなシステムに委ねることができるか、と考えてみると、その難しさが分かります。ITを利用したセーフティーネットの可能性を否定するわけではありませんが、生存権を保障するシステムに加算される、あくまでプラスアルファの要素でしかないのです。

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