サイトの更新中断のお知らせ

次世代の論客を応援するサイト「ジレンマ+」は、 この度、NHK出版Webサイトのリニューアルに伴い、 ひとまず、情報の更新を中断することになりました。 長いあいだご愛顧いただき、ありがとうございました。

2015.04.24
2013.03.22

「僕らの地域活性化作戦」番組収録後インタビュー:西田亮介

2013年3月30日(土)0:00~1:30〔金曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ「僕らの地域活性化作戦」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。

西田 亮介 (ニシダ・リョウスケ)

1983年生まれ。立命館大学特別招聘准教授。専門は情報社会論と公共政策。著書に『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』(NHK出版)、『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)、共著書に『統治を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会』(春秋社)、『無業社会~働くことができない若者たちの未来~』(朝日新聞出版)などがある。

――今回の番組「僕らの地域活性化作戦」の出演にあたって、最も伝えたかったことは何ですか?

西田  さまざまな歴史的事情によって、これまで日本の近代の地域においては「理念」が不在の状態が続いてきました。むしろ、日本=東京を発展させるために、それらを積極的に解体しようとしてきたとさえ言えるかもしれません。そして、第二次世界大戦からの復興過程では、独自の理念や目的をつくっていくということを「我慢する」とでも言いますか、国民間の共同幻想もあったかもしれない。
 しかし、これからは理念や目的をつくっていかないと、地方の自立を目指していくことがなかなか難しいのではないかと思います。理念や目的がない状態で「何かやりましょう」となっても、合理性を軸とした横並びで同じような競争にならざるをえません。そうなると、すでに事実として資源を持っているところが強くなりますから、そうではない多様な価値観の軸での差別化にもっていくためには、なにがしかの理念をつくっていく、それに対して住民の合意を獲得していく、そういう作業が必要だと思います。

――ほかの3名の出演者と議論を進めていきましたが、そのなかで興味を持った、あるいは印象に残った発言や話題はありましたか?

西田  番組のなかでも申し上げましたが、藤村龍至さんが主にインフラの話をされて、山崎亮さんがどちらかというとソフトの話をされていたと思うんですね。そのなかで、ぼくが専門にしている政策の話というのは、どちらかというと「規制緩和」という言葉に象徴されるように、一般的には「阻害要因」のようにとらえられがちです。しかし政策も制度も使い方次第でクリエイティブになりうるのですが、なかなかそうした議論がなされることはないわけです。ですから、これからは、そういった議論がなされるようにできたらいいかなと思いましたね。
 結局、政策も制度も、堅くて冷たいものではなくて、“ただの道具”ですから……使い方次第ということですね。

――番組内では福井県鯖江市の例を挙げられていました。鯖江市以外に、今注目している地域や場所があれば教えてください。

西田  鯖江市は「日本でいちばんITが進んでいる市」として紹介しました。公衆無線LANを整備したり、インターネット放送局をつくったりして、まちを挙げてITを推進しています。特産品のめがねとITを組み合わせた“電脳めがね”の開発にも取り組んでいるのです。
 鯖江市以外では、たとえば岐阜県大垣市です。ここは産業振興と情報、つまり、ものづくりとITを組み合わせているといえます。大垣市では「情報デザイン」を核に公立大学(大学院)での人材育成、インキュベーション施設(起業施設)、地域産業振興を一貫して取り組み、ユニークな成果をあげていますね。
 それから、島根県松江市。「Ruby(ルビー)」というプログラミング言語がありますが、そのRubyを活用することで、地域のIT企業のレベルアップをはかったり、公共事業の受発注の仕組みをつくって産業振興につなげたりしています。これもITをうまく使った、おもしろい例です。

 こうした事例をどうやって集めるかというと、ぼくたち研究者は地道な作業をやっていて、たとえば新聞データベースをキーワードで調べるとか、ウェブサイトを検索するとかしています。それから同業者やメディア、ジャーナリスト、企業など、いろいろな人のネットワークがあるので、「どこどこで、こういうことをやっているよ」といった話が一般の人よりは多く入ってくるような気がします。また、仕事柄、自治体の人がやって来てくださるということも結構あります。「こういう問題を抱えていて、何かやってみたいんだけど、どうお考えですか?」というような、インフォーマルなヒアリングという感じですね。
 このように全体的には地道な作業ではありますが、なかなか知られていない地域の事例を丹念に探して紹介していくという作業――それはつまり、ぼくたち研究者の仕事で言えば本を書いたり論文を書いたり原稿を発表したりというようなことですが、今後もこうした活動をしっかりとやっていきたいと思っています。

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