サイトの更新中断のお知らせ

次世代の論客を応援するサイト「ジレンマ+」は、 この度、NHK出版Webサイトのリニューアルに伴い、 ひとまず、情報の更新を中断することになりました。 長いあいだご愛顧いただき、ありがとうございました。

2015.04.24
2012.11.01

ボールペン1本から変える“働き方”:安藤美冬

「NHKの若手が主催する勉強会がある」「そこでNHKニッポンのジレンマにも出演されている安藤美冬さんが講演する」と聞き、東京・渋谷にあるNHK放送センターへ取材に伺いました。「ジセダイ勉強会」と名づけられたその勉強会は、「これからのメディアをみんなで探ろう」という主旨でNHKで働く若手が集まり、“同世代で活躍する人”に話を聞く場となっているそうです。レポートします。

安藤 美冬 (アンドウ・ミフユ)

1980年生まれ。㈱スプリー代表。多種多様な仕事を手がける独自のノマドワーク&ライフスタイル実践者。『自分をつくる学校』学長、NOTTVの『テレビをほめるYESTV』レギュラーMC、『DRESS』の女の内閣 働き方担当相を務め、商品企画、講演など幅広く活動中。TBS系列『情熱大陸』、NHK Eテレ『ニッポンのジレンマ』などメディア出演多数。著書に『冒険に出よう』がある。

神原 一光 (カンバラ・イッコウ)

1980年生まれ。NHK放送総局 大型企画開発センター ディレクター。主な担当番組に「NHKスペシャル」「週刊ニュース深読み」「しあわせニュース」「おやすみ日本 眠いいね!」。著書に『ピアニスト辻井伸行 奇跡の音色 ~恩師・川上昌裕との12年間の物語~』(アスコム)、最新刊は『会社にいやがれ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

ボールペン1本から“働き方”は変わる

神原  本日は安藤美冬さんをお迎えして勉強会を開催したいと思います。安藤さんといえば、「ノマドワークスタイル」や「ソーシャルメディアを使う」など新しい働き方にメディアの注目が集まっていますが、もともとは集英社という会社組織で働いていました。そのなかで数々の社内を横断したプロジェクトを企画したそうです。本日は、「会社での働き方」について、安藤さんが会社員のときに実践していたことなどをお聞きしようと思います。まずはじめに、会社組織で働いていたときに意識されていたことなどはありますか?

安藤  人と違うことでいえば、私は自分で“マイルール”をつくって働いていました。会社の就業規則とは別に、「自分の就業規則」をつくろうって思ったんです。入社して配属された部署から初めて異動になったとき、新しい部署で自分の納得がいく結果を出していくにはどうすればいいんだろうって頭のなかで必死に考えました。そこで思いついたのが「自分なりの“会社での働き方”をつくろう!」ということです。実はそれが今のノマドワークスタイルの礎になっています。フリーランスになった今でも”マイルール”は持っています。

「ジセダイ勉強会」は20代・30代の熱気にあふれていました。

神原  どんなマイルールがあったのでしょうか?

安藤  いろいろとあるのですが、ものすごい小さなことからいえば「ボールペン1本から働き方を変える」ということです。ふつう、文房具は会社の備品として配られるものですよね。でも、私はマイボールペンで書いた方が日々大量の赤字を入れるという校正作業もはかどるし、モチベーションアップにもつながるんじゃないかと思いついたんです。そして、いちばん使いやすいボールペンを探す旅に出かけて、この三菱鉛筆のジェットストリームというボールペンにたどり着きました。あっ、使っている方がいらっしゃいますね(笑)。会社で配られるメモ帳やノートを使うというすでにあるルールをそのまま鵜呑みにするのではなく、自分の頭で「どうすれば1分1秒はやく仕事ができるだろうか」と考えていくことが重要で、それが自分らしい能動的な働き方につながるのだと思います。

神原  おもしろいですね。他にもありますか?

安藤  いろんなマイルールがありました。「週に1日は社外の人とランチを食べる」とか。主に友だちの紹介とか、知り合いが主催するパーティーなどで名刺交換をした人に声をかけて、向こうのオフィスに訪ねていったり、こちらのオフィス界隈にきてもらって1時間じっくりと話をするんです。そのつながりで、某IT企業さんとは児童書のキャンペーンでコラボすることになったり、とても腕のいいWebデザイナーを見つけてサイト構築を手伝っていただいたりと、マイルールから広がったつながりを仕事に還元していきました。

神原  なるほど。マイルールをつくることにより、会社員でありながら自分らしく主体性を持って仕事をすることができ、それが今につながっているんですね。

安藤  すごく小さなことでいいんです。たとえば、社内で回覧板が回ってきたとして、その回覧板が見づらくてわかりにくければ、見やすい新しいフォーマットを提案してみました、とか。よく「会社で新しいことをやる」というと、とかく大きなことに目を向けがちです。新しい番組をつくる、前代未聞の新機軸を打ち出す、大きなプロジェクトを組織する…とか。でも、どうしても私たちの目の前に立ちはだかる「会社の壁」というものがそれを阻んで、なかなかできないと悩んでいる人も多いかと思います。だからこそ、日々の仕事に「小さなイノベーション」を起こせばいい。その小さな積み重ねが、いずれ大きなうねりへとつながるのだと思います。

神原  おもしろいお話ですね。小さなイノベーションで仕事に対する姿勢が変われば、結果として自分自身の働き方も変わっていくということですね。

安藤  はい。ほかにも、書籍の宣伝を担当していたときに、あるフリーペーパーに「連載の枠をください」と売り込みに行ったことがありました。そこで運よく枠をもらえたので、自分の担当している書籍を自分が原稿を書いてフリーペーパーに載せてもらう、ということをしました。そんなにすごいことじゃないけど、会社のなかで他の人がやっていないことって意外とたくさんあると思います。よく「フリーランスになりたい」という相談を受けるのですが、フリーランスで成功するのにスキルが必要なのは言うまでもありませんが、この仕事に対する姿勢というか、「進んで仕事をつくり出すマインド」が意外と重要なんじゃないかと思ってます。

神原  本日のような社内での勉強会も社内を横断する一つの方法だと思うのですが、他にアイデアなどがあればぜひ教えてください。

安藤  「skillstock(スキルストック)」というWEBサイトをご存じですか? 自分が得意なこと(スキル)を登録しておくと、そのスキルに合った震災復興支援のボランティアを教えてくれるサイトです。とてもいいアイデアだと思いました。会社のなかにもこれに近い仕組みがあればいいんじゃないでしょうか。映画評論家になれるぐらいの映画が大好きな人、料理研究家よりも料理が好きで詳しい人、WEBやアプリにやたら詳しいITに精通した人など。NHKのなかでたとえて考えるならば、たとえば「映画」に関するドキュメンタリーをつくりたいときに、その映画に精通した人をプロジェクトのメンバーに入れれば、きっとよい番組になると思います。もともと映画が大好きな人がその仕事をすれば本人のモチベーションも高いし、周りの人も知識ゼロの段階からはじめる手間を省けます。大きな会社であればあるほど、大きな社内スキルストックができるはずです。

神原  まさに「自分がメディアになる」。安藤さんがいつもおっしゃられていることに結びついてきました。ある意味、自分自身にタグを付けて発信することで、それが新しい企画につながっていくきっかけづくりになる、ということですね。ぜひ参考にしたいアイデアです。

Q:どのように情報を収集してストックしている?

神原  では、ここで参加者から安藤さんに質問があればどうぞ。

Q:安藤さんはいつもどのように情報を収集してストックされていらっしゃるのですか?

安藤  NHKでの勉強会で言うのも何ですが、私は家にテレビがない生活になってから、もう7年ぐらい経ちます。ですので、テレビはほとんど見ていません。実家や友だちの家に行ったときには見ますけど。新聞も紙では読んでいなくて、Yahoo!のニュースなど、ネットがほとんどです。その代わり、特定のテーマについて知識を深めるためにも本はよく読みます。1日1冊、調子のいいときは1日に何冊でも、ジャンルを問わず幅広く読んでいます。フェイスブック、ツイッター、ブログも情報源として活用はしていますが、情報のお片づけを大事にしているので余計なものは読みません。たとえば、質の高い有料メルマガは購読していますが、玉石混合で宣伝も多い無料のメルマガは読みません。

神原  有料メルマガもブログも、それこそ本もそうですが情報を積極的に取りにいかないといけないものばかりに思えました。それこそネットだと主体的に検索しないと情報が出てこないものです。僕は新聞はある意味で要らない情報も入ってくるからこそ自分が気づかなかった情報や興味に出会えるので好きだったりするのですが、そういうことはないのですか?

安藤  もちろんあると思います。たとえば電車に乗って目にした中吊り広告でも同じことなのではないでしょうか。自分の前に飛び込んでくる情報が縁のある情報なのだと思います。逆にそれ以外は縁がない情報だからいい。それぐらい極端に考えてます。

Q:番組をつくっているので、私はいろんな人にテレビを見てもらいたいと思ってます。安藤さんが先ほど見ていないとおっしゃったテレビをもう一度見ていただくためには、どうしたらよいのでしょうか?

安藤  私がなぜテレビを見ないかと言えば、それはもうテレビそのものが自分の生活している動線にないからです。テレビを見ない若い人でも、ニコニコ動画を見る人はいますよね。それはパソコンとかスマートフォンの方がテレビやラジオよりも自分の生活にとって身近なものだからだと思います。テレビも私のような生活をしている人の動線に入り込んでくれたらいいのかなと思いました。答えになってないかもしれませんね。すいません。

Q:フリーランスになられて第一歩を踏み出されたのだと思いますが、これから将来の目標があれば教えてください。

安藤  教育に関わりたいですね。実は父親や妹が教育に携わっているので、ずっと教育には興味がありました。今でも「自分をつくる学校」という活動をしていますが、いずれ大学にも関わってみたいです。たとえば大学をプロデュースするとか。あと、自分の思いついたアイデアはどんどんシェアしていきたいと思っています。個人のメディアでの発信は続けながら、マスメディアともタッグを組んで新しい時代をつくり出していきたいと思っています。そんな折り、11月末からはとある企画でレギュラー番組を持たせていただくことになりました。また、来年4月1日に創刊するシングルアラフォー向け雑誌「DRESS」では、ウェブと読者をつなげるコミュニケーション担当として組織される「女のための女の内閣」の「働き方担当相」に任命していただきました。マスメディアとタッグを組むこちら二つの仕事に関しては、是非、Twitterブログなどを見てチェックしてみてください。

神原  本日は「ジセダイ勉強会」にご参加いただき、ありがとうございました!

神原一光さん(左)と安藤美冬さん(右)。

Q:「ジセダイ勉強会」ってどんな勉強会でしょうか?(「ジレンマ+」編集部)

神原  20・30代の次世代を担うキーパーソンたちを毎回ゲストに迎え、仕事や世の中をどう捉え、どう向き合っているのか、そしてメディアに期待する事などを伺い「明日のテレビ」へのヒントを探るNHK局内の勉強会です。企画・運営メンバーも、参加対象者もゲストと同じ20・30代の職員です。ジセダイによるジセダイのための勉強会を目指しています!

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