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2015.04.24
2014.02.17

「今読者はどこに? 2014編集者の挑戦」番組収録後インタビュー:佐々木紀彦

2014年2月23日(日)0:00~1:00〔土曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ「今読者はどこに? 2014編集者の挑戦」収録後、佐々木紀彦さんにインタビューを行いました。

佐々木 紀彦 (ササキ・ノリヒコ)

1979年生まれ。「News Picks」編集長。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2009年にスタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長を経て、2014年7月より現職。著書に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』など。

――今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。

佐々木  編集者という仕事はめちゃくちゃ面白くて、社会的ニーズが高まっている、ということです。なぜなら今、メディア業界が百年に一度くらいの大きい変化を迎えていて、その中で新しい作品をつくったり、新しい組織や業界のかたちをつくったりする際に主役になるのが編集者だからです。

――今回の番組で“興味を持った、あるいは、印象に残った発言や話題”はありましたか。

佐々木  佐渡島さんの言葉は全部、実践に裏打ちされたものなので響きましたね。
 特にネット上の課金について、コンテンツを売るだけではダメで、「時間」を売ったり、「利便性」を売ったりすることで課金する可能性があるのではないか、というお話がありましたが、それは私も常々考えていたことをうまく言語化してくださったので、非常に心に残りましたね。

 それと、佐渡島さんが「もし、今のシステムがうまくできているのであれば、自分は作品作りに没頭する」と仰っていたのも面白かったですね。今、誰もやっていないから、システム作りを自らやっているという話をされていて、自分を俯瞰的に見る目があると思いました。編集者に限らず、多くの人は自分や自分の会社、せいぜい自分の業界くらいしか考えられていないんですが、彼はもっと広い目で考えている。私もそういう視点が大切だと思っているので、刺激を受けました。

――ウェブでコンテンツビジネスが成功するには、そのシステム作りが必要とのことですが、それはどうすれば実現できるのでしょうか。

佐々木  大きくはビジネス面とコンテンツ面があると思います。
 ビジネス面でいうと、ひとつは有料課金をどううまくやるかということです。もうひとつは広告収入の単価を上げるような新しい商品や仕組みをどうつくるかです。今、「ネイティブ広告」というものが世界的に広まっています。それは広告っぽくない広告なんですね。女性誌のタイアップ広告のようなもので、コンテンツマーケティングとも言われています。そうした広告や、動画もうまく取り入れることで、広告収入を上げられるのではないかと考えています。

 コンテンツ面での課題は、ページビュー以外のちゃんとした指標をつくるということですね。自戒を込めて言うと、記事のタイトルを派手にしたり、インパクトを重視するのは、とにかく読まれないといけないからであり、ページビューに囚われているからです。そうするとエンタメ系とか下品なものが増えてしまう。でも、ページビューは少ないけれど、この記事は良質だ、という指標もあるのではないでしょうか。良質とは、例えばこの記事は影響力のある人が読んでいるとか、あるいはリピーターが多いなど、新たな評価の基準があってよいと思うんです。

 テレビ業界でも、視聴率ではなく「視聴質」が大事だと言ってきたけれども、やっぱり視聴率競争は終わらなかったんですよね。それはデータが取りにくいからだと思うんです。ウェブの世界はもっとデータが取りやすいので、ページビュー以外の評価基準が可能になると考えています。それを早く業界標準にしていけるよう、私も頑張りたいですね。

――どこに「読者」はいて、どうすれば「読者」を広げることができるのでしょうか。

佐々木  読者はいろんなところにいると思うんですよね。私が携わっている東洋経済オンラインについても、知っている人は知っているけれど、知らない人はまったく知らない。そういう人たちにいかに知らせるかが重要です。そのためには、マスメディアやリアルなイベントなどの場を通じて告知していくことがひとつ。

 もうひとつは、ファンをいかにつくるかです。アメリカの最先端のメディアは、ページビューの半分以上がソーシャルメディア――フェイスブックやツイッターやインスタグラム経由です。検索エンジンよりも、フェイスブックなどのシェアが大切なわけです。いっぱいシェアしてくれるような、良質なファンの人たちをつくることで、マスメディアとは違った形で広がっていくと思います。

 ですから、二段攻撃ですね。「マスメディア」によって知ってもらうという「上から」のものと、ソーシャルメディアによって草の根で知ってもらうという「下から」のものと、両方で読者を見つけていくことが必要ではないでしょうか。

――今、編集者として何をやりたいと考えていますか。

佐々木  新たなシステム作りです。これまで出版界は、コンテンツメーカーとしてコンテンツだけやってきたけれど、これから一流の新世代のメディアをつくる上で大切なのは、コンテンツとテクノロジーとビジネスの3つの輪っかを、かぶせることなんですね。そうすると新しいものがいろいろと生まれてくる。この3つの輪が交わったメディアをつくる、というのが私の当面の目標です。

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