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2015.04.24
2014.11.21

「情報って何だ? WEB2.0は今」番組収録後インタビュー:米重克洋

2014年11月30日(日)0:00~01:00[11月29日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「情報って何だ? WEB2.0は今」収録後、米重克洋さんにインタビューを行いました。

米重 克洋 (ヨネシゲ・カツヒロ)

1988年生まれ。株式会社JX通信社代表取締役。学習院大学経済学部卒。航空自由化に関心を持ち、中学3年生だった2004年から数年間航空専門ニュースサイトを運営。2008年、大学在学中にJX通信社を起業し、ニュース自動要約アプリ「Vingow」を開発・運営。主要紙全紙を毎日読み漁るニュースジャンキーであり、業界紙に寄稿する航空政策ウォッチャーでもある。

――今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。

米重  メディアやジャーナリズムについては、発信者側の問題がそもそも最も大きいと感じています。しかも、テクノロジーはそれを解決する可能性を秘めているけれども、メディア側はそれを使いきれていないどころか、振り回されているのが現状です。例えばPV(ページ・ビュー)や、ツイート数といったソーシャルのバズなどの数字に目を奪われて、コンテンツが粗製乱造になっていますし、それが受け手に対して悪い影響を与えていると思います。そういった課題を解決する仕組み作りの必要性や、そのなかでテクノロジーが果たせる役割が数多くあると伝えたかったんです。そうしたテクノロジーの上手な活用が、メディアやジャーナリズムにとって「衣食足りて礼節を知る」状態につながってくるのではないでしょうか。

――今回の番組で“興味を持った、あるいは、印象に残った発言や話題”はありましたか。

米重  古市さんが、「なんで炎上はなくならないのか」と仰ったのに対して、ドミニクさんが「炎上しないツイッターのようなものを、実際に作ればいいのではないか。そういうものをみんなが気軽に作れる時代になってきた」と話しておられたのは、その通りだなと思います。何かを作って、世の中を変えるという手段がこれまではなかったけれども、今はできるようになっています。誰でも発信できるというインターネットの良さが出る時代になってきたと感じます。
 これまでメディアというと、いわゆる「4マス」と呼ばれる新聞・テレビ・ラジオ・雑誌が基本で、とても気軽に作れるものではなかったけれども、インターネットが出てきて、誰でもメディアを持てるようになりました。私自身それを使って発信して、今があります。いい時代になったと実感しています。

――番組でお話しされていた「集合愚」の問題を解決するには、何が必要でしょうか。

米重  メディアによってはPV稼ぎの目的で、面白いけれどもゲスなもの、社会を間違った方向に煽り立てるような方向に行きがちだ、というのを「集合愚」のたとえとしてお話ししました。それを解決するために、人間が仕分けていくとか、あるいは人間の良識で排除していくということができればいいんですが、それをすべて人間がやるのは新鮮さが求められるニュースに関しては時間がかかりすぎるし、ネットでは現実的にビジネスとして成り立ちません。そこをテクノロジーで代替できるのではないか、と思っています。
 今でもすでに、間違った記事が伸びている時に、機械がネガティブなコメントなどを読み取ることで「この記事はおかしいんじゃないか」と、ある程度は判別することができるようになっています。機械はそうしたシグナルをピックアップして人間に教えてくれるので、その先は人間の役割が残るとしても、結果、人間の作業が格段に減り、より効率化されます。こうした機械による「自動化」が進展することで、PVに頼り過ぎず、より良いコンテンツを発信していく新しいビジネスモデルが作れると思いますし、間違った情報が増幅されることを防ぐ仕組みも作れるようになります。

――ウェブメディアでのコストの問題はどう考えていますか。

米重  今のウェブメディアのあり方は、基本的にアナログなものだと思っています。確かにインターネットにHPを公開する時にはテクノロジーが使われていますが、それ以上ではない。つまり、人間が記事を書いて、他人の注意を惹きつけるようなタイトルを考えて、うまく編集をしてまとめて、それを世に出す。その世に出す瞬間までの全ての工程を人間が手がけているわけです。書くのに使う道具がパソコンやスマートフォンだったとしても、結局、全部人間が時間と労力をかけて全てやっていることには変わりありません。
 さらに、その記事をより多くの人に読んでもらうためにポータルサイトなどに営業に行くといった業務を手がけるのも人間であるため、結果としてPVから発生する収益に対して、全くコストが見合わなくなっています。コンテンツが流通する機構までもが自動化されていないのです。色々なメディアをつないで、そういったところまで機械が介入していく仕組みを作っていくことで、個別のやり取りや編集・流通機構などが自動化され、改良されていくのではないでしょうか。
 実際、そうした方向に進まないと、構造としてもたないと思います。日本の新聞社では、一部の大手紙を除いて、ウェブからの売上は1%未満です。つまり、99%以上は紙か、イベントや不動産などから収益が上がる構造になっています。本当は残りの99%の分もウェブから稼がなければ、ビジネスモデルとして成り立たない。しかし、今は全くついていけていないという状況です。
 もっとテクノロジーに投資をすることで、かかるコストを今の4~5割、そこまでいかなくても8~9割くらいまで下げることができると思いますので、それで浮いたコストをさらに人間やテクノロジーに投資する。これを繰り返すことで、メディア側の「衣食足りて礼節を知る」状態が成し遂げられていくのではないでしょうか。その先にようやく、読者や消費者の利益が実現するわけです。逆に言うと、「衣食足りて~」のためにコストを下げていくことは、テクノロジーの助けなしにはできないと思います。人間がこれ以上手を抜きながらも、質の高いコンテンツ作成を維持していくというのはまず不可能であり、残りのギャップを解消する手段はテクノロジーしか残されていない、というところまできていると感じます。

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