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2015.04.24
2014.10.22

「ネットの“みんな”は今どこに?~参加とポピュリズムのジレンマ~」番組収録後インタビュー:先崎彰容

2014年10月26日(日)0時~[10月25日(土)深夜]放送予定のニッポンのジレンマ「ネットの“みんな”は今どこに?」収録後、先崎彰容さんにインタビューを行いました。

先崎 彰容 (センザキ・アキナカ)

1975年生まれ。東日本国際大学准教授。専門は近代日本思想・文学史。東京大学文学部卒業。東北大学大学院博士課程単位取得終了。著書に『ナショナリズムの復権』(ちくま新書)、『アフター・モダニティ― 近代日本の思想と批評』(共著、北樹出版)。

——今回の番組で“最も伝えたかったこと”は何でしょうか。

先崎 今、私たちは、人との「つながり方」のあり方を問い始めています。その前提には、これまで私たちの社会が、あまりにも「つながり」を無視してきたという「歴史」があります。これまでの社会は、戦後の「ゆたかさ」を背景に、バラバラ=自分の興味関心に向かっていました。それが震災や不況によって一変したのです。
 その「つながり方」のバリエーションの一つに、ネットはある。そこに民主主義やポピュリズムも絡んできて、今回の議論になっているのです。つながらなくても自分は大丈夫、と思っていた時代が急に変わったように見える。なんだかよくわからないけど、今は不安のほうが増大している気がする。そうすると人は、過剰につながろうとしはじめるものです。
  その過剰さを、私は常に警戒しています。だから、「つながる」という行為には、ある程度の時間の積み重なりが必要なんだ、ということを伝えたかった。だから、あえてネットの「つながり方」=一時的なもの、時間の短さを否定するような発言をしてみたのです。

——今回の番組で“興味を持った、あるいは印象に残った発言や話題”はありましたか。

先崎 ほかの出演者は、みんな若い(笑)。でもその出演者たちが、「ネットの限界」を冷静にみつめているのは、意外でした。リアルな人間関係の大切さを、しっかりと受け止めて、そのうえでネットの社会にもつ意味を探ろうとしている。スゴイですね。

——先崎さんは、「テクノロジーを人や社会に馴染ませることが重要だ」との趣旨の発言を放送中にされていました。具体的にどのような意味なのか、もう少しご説明ください。

先崎 例えば、こんな経験はないでしょうか。プリンターを使って、今資料を印刷していたとします。でも、機械がうまく作動しないと、非常にイライラする。
 このつまらない経験は、次のようなことを教えてくれるのです。僕たちは普段、機械を使っている側だと思っている。機械はまだ「人工知能」をもって、勝手に動きだしたりはしていない。だから、僕たちが主人で、機械が主人に使われているのだ、と。
 でも本当にそうですか? 僕が機械にイライラして、そのイライラを横にいる家族に、急にぶつけてしまったとしたら……。それはもう、「機械に、人間が使われている」のです。実は機械が。主人になって、僕の家庭に影響を与えているんですから。
  こんな具体例からも、SNSをふくめた情報、機械をつかうことが、人間関係にいかに大きな影響を与えるのか、分かってもらえるでしょう。「テクノロジーを人や社会に馴染ませる」とは、人と技術の距離感を意識せよ、こういう意味なのです。

—視聴者にメッセージをお願いします。

先崎 放送を観て、ネットが良い悪い、民主主義が良い悪いでという結論ばかりに興奮してはいけません。それは番組の趣旨からズレるでしょう。むしろ、議論していること自体に意味を感じてほしいと思っています。つまり、正解がないことに耐えるということです。
 今の時代は、結論のなさに面白さを感じる姿勢、ユーモアが重要なのです。

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