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2015.04.24
2013.07.19

「僕らの新資本主義」番組収録後インタビュー:槌屋詩野

2013年7月28日(日)0:30~1:30〔土曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ「僕らの新資本主義」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。

槌屋 詩野 (ツチヤ・シノ)

1979年生まれ。株式会社Hub Tokyo代表取締役。国際NGO勤務、シンクタンクでのイノベーションリサーチを経て、起業。世界中のチェンジメイカーとなる起業家達が接続するコラボレーションネットワークとしてのHUBに東京から参画し、HUBの経営、日本でのブランディングを見る。現在、HUB内にて「番頭」として活動し、HUBに集まるメンバーの事業成長、コラボレーションに様々な形でコンサルティング中。

――今回の番組で興味を持った話題、あるいは他の方の発言で印象に残ったものはありましたか。

槌屋  私以外の登壇者お二人とも、経済学的なアプローチや金融からのアプローチで資本主義を語られていましたが、キーワードには似ているところもあり、そこが面白かったです。

 サブプライムローンの引き金にもなった「実体経済」と「金融経済」の乖離の話では、人は期待をするからこそお金を回し始めるという話がありました。
 期待とは実は欲望とおっしゃっていましたが、それをポジティブに考えると、信頼している相手に期待をする、という人間の心理と重なってくるということが見えてきて、勉強になりました。

 他に印象に残ったのは、「日本では、お金の話がタブーになりやすい」ということです。自分はそう認識していなかったので……。日本のコンテクストの中では、そう言われてみればそうですね。
 しかし同時に、山口さんがおっしゃったように、お金は摩擦を減らすためのコミュニケーションの一つであるということは、身をもって知る機会も多いので、山口さんのこの言葉を拝借して他の人に広めていきたいです。

――アイデアを持っている若者は、まず何をすればいいのでしょうか?

槌屋  Howも大切ですが自分の中のWhatを見つけてほしいですね。最初のアイデア自体に固執する必要はないと思います。人生を経るにつれどんどん変わっていくものですから。

 それよりも、アイデアと自分をつないでいる「一本の線」が本当に腑に落ちているかは、何度も確認してほしいです。あなたがそのアイデアを本当にやるべきなのか? たとえば、他人によく見られたいがゆえに言っていないか?

 自分の人生で抱えてきた問題意識に基づいて、絶対にやらなくちゃいけないと思っているアイデアと、他者の評価を気にして生まれたアイデアでは、実行力が全然違います。
 私はその人を作るコアの話をする時、「原風景」という言葉を使い、「あなたの原風景がどこにあるのか、話してください」と、よく起業家と問答をします。
 自分とアイデアとのつながりを表現しようとする中で、原風景が見えてきて、自分がやるべきことがはっきりしてくるのです。

――晩年のマルクスの話をされていましたが、特に影響を受けた思想家はいますか?

槌屋  大学生の時ですが、資本主義社会がこれからどうなるのか、と考える時、産業革命が始まったばかりの1830年代頃の人たちが考えていた「社会主義」の源流となった思想は、「資本主義」の本質を突いている、と気づきました。

 急激に始まった産業革命と大量生産に対して、当時のいろいろな人たちが、「この変化は何なんだろう?」「危ないことが起こっているのではないか」と騒ぎ始め、たくさんの社会思想が生まれました。
 約100年前の人たちも、今の私たちと同じようなことを話しているのです。キャピタリズムはこういう弊害があるとか、シェアをしようとか、コモンズ(地域共同体に属する共有地)にあるいろんなアセット(財産、資産)を活用しよう、とか。

 「新資本主義」という今回のテーマについては、資本主義以前を生きていた人たちが資本主義について「これはおかしい」と感じていた部分に、ヒントがあると思います。当時の人は、労働者がただの歯車になっていく過程を見て、「これは違う」「人には必ず潜在的に能力がある」と考え始めたわけです。
 いま会社勤めの方々が悩んでいる、会社という仕組みができ始めた頃から、資本主義はおかしいと思っていた人たちがいたのです。

――会社が生み出される場にいる槌屋さんから見て、会社とは、「共同体」と「経営体」のどちらだと思われますか。

槌屋  私は、会社は運命共同体のようなものだと思っています。
 もともと会社の起源は「船」です。大航海時代、商人たちが船を作るお金を集めるために投資を募って、はじめて会社という組織ができました。そして、出かけた船が帰ってきて資産を生んだ。船員が衣食住をともにして、キャプテンが持つコンパス・海図に頼り、そのビジョンについていく。船員は搾取もされたかもしれないけれど、キャプテンに命をゆだね、互いに貢献しあう。
 そういう考え方で生まれた会社が、いつのまにか「経済体」になった。

 会社は、経済体であった時期のほうが短くて、共同体としての歴史は15世紀から続いていて、長いのです。その要素を無視して、会社を語ることはできないと思います。

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