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2015.04.24
2013.03.25

「僕らの地域活性化作戦」番組収録後インタビュー:山崎亮

2013年3月30日(土)0:00~1:30〔金曜深夜〕放送予定のニッポンのジレンマ「僕らの地域活性化作戦」収録後、出演者のみなさんにインタビューを行いました。

山崎 亮 (ヤマザキ・リョウ)

1973年生まれ。studio-L代表取締役・コミュニティデザイナー。京都造形芸術大学教授。地域が抱える課題を、そこに住む人が解決するためのコミュニティデザインに携わる。著書に『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』(学芸出版社)、『まちの幸福論』(NHK出版)、『コミュニティデザインの時代』(中央公論新社)など。現在、NHK総合「NEWSWEB」ネットナビゲーターを務める。

――今日のお話の中にも出ていましたが、都市で暮らしていると、「地方はもうダメなんじゃないか」という、漠然としたマイナスイメージがつきまといがちです。

山崎  60~70年代に都心に人口が集中した時代の地方のイメージが、未だに人びとを支配しているような気がしますね。「過疎化」という言葉1つでも、それが喚起するイメージ、農業とか林業なんかの第一次産業がもう成り立たないという後ろ暗いイメージが、相当深く貼りついているように思います。

――山崎さんはコミュニティデザイナーとしてさまざまな地域の状況を目にされていると思いますが、「地方」という選択を妨げるそうした先入観は、どうすれば払拭できるでしょうか。

山崎  都市に住みながら、まずは地方に通ってみることでしょうね。
「こういう場所に住んでみたいなあ」と思うところを月に1度でもいいから通って、その土地に友達をつくってみる。あるいは、その地域でおもしろそうな人生を送っているなと思った人に話を聞いてみる。そうすることで、その地域で暮らしていくことの楽しさと苦しさの両面を伺い知ることができるはずです。じっくり通うことで、自分の生き方に合っているかどうかを確かめるわけですね。

「その土地で暮らしたい」という意思が固まってきたら、少し長めに滞在してみたりして、徐々に軸足を移していく。その段階だったら「やっぱりやめた!」と思い直すこともできますからね。大切なのは、東京か地方かではっきりと自分の人生を分けて考えないことです。もちろん地方はいいところばかりではありませんが、想像と実際は大きく異なるでしょうし、身をもって経験したからこそ感じることはあると思います。

この仕事をやっていると、地方の産業のさまざまな側面に都市部からの移住者が入って、地元に昔から住んでいた人たちにはできなかった取り組みに挑戦している人に多く出会います。もちろん彼らだけで何かできるわけではなくて、地元の人たちと協力しながら1つの大きなことに取り組んでいるわけですが、そうした協働の中にこそ、地方の未来を考える上でのヒントがあるような気がしています。

――その取り組みということにも関係するかもしれませんが、実際にある土地に移住したとき、そこで「どう食っていくのか」という問題があります。地方でどのように働くかということも議題に挙がっていましたが、山崎さんはどのようにお考えでしょうか。

山崎 まずはその地方のことをよく観察して、その土地でできる仕事を自分で見つけることがひとつの手なんじゃないかと思います。 例えばですが、デザイナーは東京に住まずともできる仕事ですよね。むしろ地方在住だからこそできる仕事があるかもしれません。都市に住んでいると、美しい自然をモチーフにしたデザインは全て商用写真で構成しなければいけませんが、自然が溢れる土地で暮らせば、その素材はそれこそ集落に入っていって手軽に撮影できます。そこでしか撮れない写真もきっとあるでしょう。 そうやって考えて自ら仕事をつくっていった人が有名になれば、「ああいうやり方があったのか」と評判になって、同じ地域に複数のデザイナーが住み着くということは考えられます。高知県でご活躍されているデザイナーの梅原真さんや迫田司さんなどは、まさにその先駆者ではないでしょうか。

あるいは、地域のためになること、たとえば地域のおばあちゃんたちの御用聞きになって生活することで、新たな仕事が生まれるかもしれません。重い物を2階に運んであげたり、草刈りをしたりといったお手伝いをすることで、「大根漬けたから食べなさい」とか「魚がたくさん捕れたから、あんた食べなさい。若いのに大変でしょ」という話がくるようになったりして、新しい関係性を育むことにもつながるはずです。そこで、今まで気づかなかったモノやお金では測れない価値の大切さに気づくこともあるでしょう。

何が正解なのか分からない時代だからこそ、自らの力で答えを提案できる能力が重要になってきます。そういう意味では、「地方や中山間離島地域はもうダメだ」と決めつけてしまう前に、まずは自分がそこで何をできるのかと考えることが必要ですし、そうした具体的なアイデアを通してこそ、少しずつ地域は変わっていけるんじゃないかと思っています。

 

 

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